目分量な恋にトキメキを (藤真健司)
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恋心は、例えるなら九月の通り雨のようだ。
この胸の高鳴りは儚くも強く
一度虜になってしまえば容易に抑えることはできない。
ついあんなことを言ってしまった。
人を好きになることに理由なんてない。
そう思うが……
俺は、君のことをもっと知りたい。
本当に君を好きなのかどうか
自分の気持ちを確かめたいんだ ――
「ふああ……」
「なまえ、寝不足?
あ! もしかしてゆうべ、ずっとテスト勉強してたとか?」
「まさか。ないない」
「だよね、なまえに限ってあるわけないよねー」
同じクラスに少し気になっている女子がいる。
その人の名前はみょうじなまえ。
彼女を一言で表すとすれば「自由気まま」だ。
良く言えば「マイペース」、悪く言うなら「不精者」。
座席は廊下側の対角線上の位置。
疲れているのか、涙にも似た水滴を目一杯瞳に浮かべ大きな欠伸をしている。
それが本当に欠伸なのかどうか……真相はまだハッキリしていない。
そのことが気になって授業中も休み時間でも彼女のことを目で追い、見つめてばかりいる自分がいる。
これは恋なのか。またしてもハッキリしてないが……
きっとそうなんだろう。
人を好きになる。その
もう少し時間をかけて見極める必要がありそうだ。
「藤真君って、なまえのこと好きなんじゃない? 毎日なまえのことチラ見してるし」
「えー、そうかなぁ」
「絶ッッ対そうだって! うらやましー」
「ふーん……」
こっちを見て何やら友人と盛り上がっている。視線を送っていることがバレたのか。
別に、どう思われていようが気にならないさ。
この気持ちに火がついた今、いくら不鮮明といえどそんな簡単に消火できるものじゃない。
だが俺は恋愛においてはあまりがっつかず、どちらかと言えば慎重派だ。
見つめるだけでそれ以上のアピールはしない。もっと時間をかけて、少しずつ彼女のことを知っていきたい。
― そんな日々が何日か続き……
「あれから全然見てこなくなったよね、藤真君。
なまえがテキトーでいい加減だから、興味なくなっちゃったのかもよ?」
「なにそれー」
何でも引き際が大切だと聞いたことがある。
その教えにならい、以降俺は相手の動向をうかがうことにした。
もし彼女が、みょうじさんが俺に関心があるなら、向こうから話しかけてきたり
何かアクションを起こしてくるはずだ。
それでダメなら、押しまくってでも手に入れてみせる!
「あのさ、毎日毎日人のことチラチラ見てきたくせに、急にアピールしてこなくなるってどーいうこと?」
「…………」
「ねえ、聞いてんの?」
罠にかかったように話しかけてきた。
これはどんどん押しても良いということか。
女子の身体をまじまじと見るのは失礼に当たると分かっているが、手入れの行き届いたサラサラな髪の毛、くっきりとした目鼻立ち。
また、背丈は俺とさほど変わらない。
街中ですれ違えば思わず振り返るほどの綺麗な顔立ちとスタイルだ。華やかなランウェイを歩けば脚光を浴びることは間違いないだろう。
聞いたところによると
スタイル良し、頭脳良し、顔も良しと自負しているそうだ。来るもの拒まずで自らいかずとも向こうから寄ってくると思っていて、周りの男子の視線は自分に釘付け。
しかし、大雑把な性格なのか……
調理時でもこんなもの目分量で大丈夫、いちいち計るのは面倒臭いと不精ぶりを発揮。
どうやら彼女はいついかなる時も
もちろん恋にも、目分量。
何に対しても自意識過剰で相当なうぬぼれ屋らしい。
お? 何だか目元が少し腫れぼったいような気がしなくもないな……気のせいか。
「何を言い出すのかと思えば……
君は性格に難がある上に、人を見る目がないな。
自分のものさしだけで測るんじゃない」
「なっ……!」
すまない。つい厳しく言い過ぎてしまった。口が悪いかもしれないが、分かってほしい。
君を思ってのことだということを。
指摘されたことがなかったのか、今のは決定的な一言だったらしい。これでは相手のプライドがずたずたになってしまう。もっとマイルドな言い方に変えなくては。
「すまない……もっと慎重になるべきなんじゃないか? 特に恋人探しは。
どんなに容姿が良くても、それでは誰にも好かれることはない。もっと自分を磨くんだ」
「あっ、あんたは
磨かれてるって言いたいの!? さっきから人の足元ばっか見て、何様なワケ!?」
短気は損気だ。
机を叩くなんて野蛮なマネはよした方がいい。
「私のこと好きなんでしょ!? 答えてよ!!」
「……そうかもしれないな」
「えっ」
「と、言ったら?」
「!」
内容が内容だが、君と会話ができるなんて夢のようだ。
自分の気持ちとてあやふやだが彼女の言葉に促され、時には強引にいってみようと試みた。
「君の方こそ、俺のことが好きなのか?」
「は……!?」
「でなけりゃ、話しかけたりしないよな」
「別に、あんたにときめいたりなんか……
ただの好奇心よ! こ う き し ん !
翔陽キャプテンのイケメンがどんなものか、ってね!」
イケメン? そんな風に思ったことは一度もないが……
言われて悪い気はしないな。君に言われるならなおさら。主将であることで興味が湧いたのなら役得だと言い切れる。
「いい機会だ。見極めよう」
「見極める?」
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