夏といえば… (清田信長)
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サンサンと照り続ける太陽、青い空、白い雲。
本日は日本晴れ。三十度超えの日差しの強い真夏日。
「うお〜!! 海だ〜!!」
「わあ……!」
夏休みに突入して、おまけに部活もオフ。そうなりゃここに行くっきゃねーだろ! ってことで
私たちは出来たてホヤホヤの
彼女になりたての私。映画館とか食事とか……初デートに海をセレクトするところがノブくんらしくて。速攻! じゃなくて、即行で誘いに乗っかった。
いつも元気で目立ちたがり屋で野心もあって、同じ一年生なのに海南のスタメンになれたことも凄いって思う! そのバスケットにひたむきで頑張ってるところとかパワフルなプレイを魅せてくれるノブくんが好きー!
この水着だって、慌てて新調したんだよ?
中肉中背の体型だから人様に晒せるような魅力もなくて恥ずかしいことこの上ない。
パレオは絶対欠かせなかったし、浮き輪も私の精一杯のささやかな抵抗。だけど彼氏のノブくんにだけは見てほしい気持ちもあって……思いっきり矛盾しちゃってる。
「よっしゃあ! 夏といえば、やっぱコレだろ!」
ジャジャーンって効果音が似合いそうな感じでスポーツバッグから取り出したのは、バスケットボールでもビーチボールでもなくて。夏の果実の王様・スイカ。
そう、今日ここに来た目的はスイカ割り!
八百屋でお店の人と値切りに値切って、なんとか買えたんだよね。まさにノブくんの苦労の結晶! ありがとー!
だけど、必死に値引き交渉してる横で思ったんだ。大勢でやったほうが盛り上がるのに、ノブくんは二人だけで行こうって聞かなかった。
スイカは野菜? それとも果物?
そこまで重要じゃないけど、ちょこっとだけ気になる。そんな程度の小さな疑問。何かこだわりがあるのかな。
「なまえ! 俺が手本をみせてやるぜ!」
「うん! ファイトー!」
焼け焦げちゃいそうなくらい熱い砂漠同然の砂浜の上に本日の主役をセッティング。
タオルで目隠しと、バットに額を当てて反時計回りに十周して、ノブくん、いざ出陣!
「真っ暗でなんにもわかんねー!」
「もっと右! あ、次は左! そのまま真っ直ぐ!」
「ここか!?」
「そう、そこ!」
私の指示通りに動くノブくん。操り人形みたいでかわいい。プレイ中の姿もカッコいいけど、プライベートを覗き見してるような違う一面が見られて感激!
それに海パン姿がまぶしくて……
ゴムで一本に結んだ髪型も、二の腕も首まわりも太くてさらにはお腹の部分も引き締まってる。目隠ししてるんだしガン見できるわけだけど今の私にはチラ見が限界。どーしよ、男子のカラダ……直視できない……!
「うおりゃー!」
「……!」
ああ、残念……勢い良くバットを振りかざしてたけど、あと三十センチちょっとってところで終わっちゃった。
「あー、惜しい……!」
「くそーっ! もうちょいだったのに!」
「「 ! 」」
タオルを外した瞬間、目が合っちゃった……!
って、え……?
なんでノブくんまで赤面して……?
「……今のは練習! そう、練習だ!
こっからが本番だぜ!」
「うっ、うん!」
そう言ってノブくんは顔を背けて普段通りに戻った。なんだ、そっかぁ。今までのはリハーサルだったんだ。それからは今まで以上に張り切って挑むけど撃沈してまた挑んで、の繰り返し。バスケットだけじゃなくてどんなことに対しても一生懸命に取り組むノブくんが好きっ!
でも、どうしてそんなにムキになってるの……?
スイカが割れるまでは時間の問題。
せっかくの初デート。直感だけで楽しめばいいのに。
考えることがいっぱいでこんがらがって、私の頭もかち割れちゃいそうだよ……
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