天使の舞〜悪魔の兆し 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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「「よーし、集合だ!!」」
放課後、湘北高校男子バスケ部は間近に迫った翔陽戦に向け今まで以上に練習に熱が入っていた。
綾と彩子は素早くタオルやドリンクを手渡す。
先日、赤木に話があると言われた綾。部員たちは体育館の中心に座り込んでいる。安西監督が前に立ちゆっくりと口を開く。
「今日は君たちに言っておかなければならないことがあります。」
「ああ? なんだよオヤジ。
まさかこの天才に恐れをなして翔陽の弱点でも公表しようってんじゃねぇだろーな!?
安心しろ! このリバウンド王・桜木がいる限り、負けることは絶対にありえん! ナーッハッハッハ!」
桜木は監督の顎をタプタプしながら大笑いをしていた。
一体彼のこの自信はどこからやってくるのか?
甚だ疑問である‥‥
すると
ドゴッッ!
「やめんか!
少しは静かにできねーのか、テメーは!?」
桜木の頭にキャプテンの拳が炸裂した。
たんこぶができて赤く腫れてしまっている。
「ったくゴリの奴、すぐ殴るんだからよ……」
「バーカ。」
「先生をオヤジなんて呼んだ罰だ。」
「どあほぅ。」
「ほらっ桜木花道、早く座る!」
「やれやれ……」
この様な光景は日常茶飯事だ。
綾は桜木の頭を心配しつつも、笑いをこらえるのに必死だった。
「春野くん、こちらに来てください。」
「は、はいっ!」
監督、赤木、綾の順番で前に立つ。
「君たち、春野くんがコート上の天使と呼ばれていることを知ってるかい?」
「!」
「コート上の天使……?」
初めて耳にする彼女の肩書き。
監督は昔を振り返りながら、ゆっくりと話し始めた。
「今から2年ほど前……
それまで無名の中学、無名の選手だった彼女が県大会予選の決勝戦までのし上がってきてね……
私もその試合会場に居たんだが
一個人の女子バスケット選手としては決して能力が高いわけじゃない。
だが、窮地に追い込まれた状況でもとても楽しそうにプレイをしていたんだ。
最後まで諦めない心やチームメイトへの励まし、応急手当等のサポート面においても実に的確でね。今でも鮮明に記憶に残っているよ。」
「先生……」
皆の視線が集中し、綾は照れ臭さからか顔を赤くしていた。
「いわば影の功労者、ってことか。」
「綾がそんなにすごい選手だったなんて……確かに、傷の手当も迅速だったものね。」
「中学県大会の決勝?すごいじゃねーか、綾ちゃん!」
「最後まで諦めない心……か。」
( 天使…… )
「綾さんにピッタリの肩書きじゃないですか!確かに天使のように優しいもんなぁ……」
「そんな、買い被り過ぎだよ~。」
「そして……君の最大の魅力は、笑顔です。」
「「 !! 」」
「せ、先生!?」
「春野くん……
君の笑顔は周りの人間を幸せにする力がある。
海南の牧君や翔陽の藤真君も、きっと同じことを思っているはず。
湘北を含め、彼らのそばにいてあげてほしい。
それだけで君たちはもっと強くなれる。
私はそう信じているよ。」
監督は、優しく微笑んでいた。
「ありがとうございます……」
綾は感無量で胸がいっぱいになった。
そんな中、赤木は彼女に疑問を投げかける。
「春野、お前自身はこの事を知ってたのか?」
「はい。当時、健司くん……藤真さんに
魅力的な選手が居るって聞かされて……
彼にも言われたことがあります。
だけど、具体的な内容まではつい最近まで知りませんでした。
ふふっ。それにしても、コート上の天使だなんて一体誰が考えたんですかね? 照れちゃうなぁ……」
綾は頬を染めながら花の様に笑った。
「「……!!」」
「この笑顔で牧のハートをGETしたのね♡」
「魅力的な選手か……なるほどな。」
「「綾さん(ちゃん)、癒される……」」
「…………」
終始無言だった流川。
そして
「おい、綾。」
「あ……楓くん……何?」
流川に話しかけられた綾。先日、試合会場でキスをされた事実を思い出した彼女は途端に恥ずかしくなり、俯いたまま話す。
「あの時は……悪かった。」
「!」
綾は顔を上げて、彼を見た。
「返事は……どうせ、分かってる。
だから言わなくてもいい。
だけど……お前といつまでもこんな気まずいままなのは、イヤダ。」
「楓くん……」
「アイツのためでも、藤真って奴のためでもいい。ずっと、俺のそばで笑ってろ。」
「!!」
「なっ、ルカワ!?」
「お前ら……何かあったのか?」
「み、三井先輩、何もないですよ!
楓くんが今度こそバスケを教えてくれるって言うから……ね?
そうだ、桜木くんや晴子ちゃんにも教えてあげてよ!」
「綾さん!?
ルカワ……テメーなんかに教えてもらわなくても上達できらぁ!! こっちから願い下げだ!!」
流川は桜木を無視して話を続ける。
「お前には教えてやる。
なんで俺がこんなどあほぅに……
それに、なぜキャプテンの妹……?」
首を傾げる流川。彼は自分が好きになった女性には俄然興味が湧くが、自分のことを好きでいる人物には全くと言っていいほど関心が無く、「超」がつくほど鈍感なのかもしれない。
「な、なぜって……
( 晴子ちゃんが片思いしてるなんて言えない……! )
ほら! 彼女、バスケ好きだし可愛いし、よく応援に来てくれてるじゃない? だから……」
( はぁ……私のバカ。
前に恋のキューピッドになってあげる! なんて
大口叩いたクセに、役立たずだよね。
晴子ちゃん、ごめんね…… )
綾は大きなため息をつき、ひどく落ち込んでしまった。
「……?
ため息をつくと、幸せが逃げるぞ。
さっき笑ってろって言ったばかりだろ。
それに……お前の方が、可愛い。」
流川は顔を赤くした。
「「!?」」
「なっ、なに言って……
あんまりからかうと、紳ちゃんに言いつけちゃうからね!」
と、ベーッと舌を出して威嚇した。
( やっぱり可愛い…… )
ーー‥
お前の笑顔が好きなんだ……
そして、俺を強くする。
だから笑っていてくれ、綾……
‥ーー
( 楓くんがあんなこと言うから
紳ちゃんのこと思い出しちゃった……
次は、いつ会えるかな……? )
親しい仲間と他愛も無いことで笑い合って、時には支え合って。こんな日々がずっと続けばいいのに。
続いてくれたら、良かったのに……