天使の舞〜悪魔の兆し 編
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夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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そして迎えた試合当日。
ドリンクやタオル、スコアの準備など、綾と彩子はマネージャーとしての任務をせっせとこなしていた。
「さあ、津久武に勝って勢いに乗るわよ! 翔陽戦が間近に迫ってるんだからね!」
「そうですね!」
「アンタ、牧には事情を話したの?」
「はい。何かあれば助けてね、ってお願いしてあります。今日も応援に来てくれるって言ってました。」
「そうなの? 相変わらずラブラブね~♡」
今回はインターハイ県予選4回戦。
各代表校のメンバーが偵察に来ていたのだ。
綾の恋人である、海南大附属の牧。
( 綾、頑張れよ。
津久武の南郷って奴はどこだ……? アイツか? )
192cmと長身の彼が桜木と綾の元へ歩み寄ってきた。
「ナッハッハ! 桜木、なんだ、お前はベンチなのか!?」
「くっ……メッシュ猿! テメーは必ず俺が倒す!」
「三連続無得点・退場男がエラソーに。」
横から流川が茶々を入れる。
「お、おのれルカワ……! テメーも倒す!」
この時、南郷が綾の両肩に手をついた。
「「!!」」
「綾ちゃん!
湘北のマネージャーだったんだね! もうこれは運命としか言いようがないね。
試合に勝って必ず君を迎えに行くから、待っててくれよ~!」
「え……う、うん……
お互いベストを尽くして頑張ろうね?」
( やっぱり背、高いな~。)
「やっぱり可愛い~……
じゃ、応援よろしくな、マイハニー!」
彼は笑顔でチームメイトの元へ。
一部始終を見ていた男たちの心に火がついた。
「おのれメッシュ猿め……!!
汚ねえ手で綾さんに触るな!!」
「チッ、にゃろう……」
( 馴れ馴れしい男だな…… )
牧も内心イラッとしていた。
そして、陵南のメンバーはというと
「魚住さん、春野さんとあの15番の南郷さんは一体どういう関係なんですかね?」
「さあな……
だが、何かあることは確かだろうな。」
「牧さんも観に来てるでしょうから、これは一波乱も二波乱もありそうですね。」
「ま、牧さん!? 一言ご挨拶に……」
「彦一! 行かんでもいい!!」
ボソッ‥‥
「コート上の天使、か。」
「え? 何ですか、それ……? 天使?」
「彼女のことさ、彦一。
今日一日、見ていれば分かるさ。」
「仙道さん……?」
( よ、要チェックや……! )
そして
翔陽からは藤真と花形も偵察に来ていた。
「藤真……彼女、もしかして……?」
「ああ。春野だ。一年振りだな……」
久々に見る、彼女の姿。
来て良かった……と
嬉しさからか、はにかんでいる。
「ところで、あの15番は何なんだ?」
「さあな……おおかたあの一年と取り合いでもしているんだろう。問題ないさ。」
さすが監督でもある藤真。
観察力や推理力が優れている。
「俺の宿敵は、海南の牧……
奴一人だけだからな。」
「藤真……」
( それにしても、綺麗になったな……アイツ。)
彼は愛おしそうに綾の姿を見つめていた。
「私たちも湘北を応援しなくっちゃ!
ね、洋平くんたちも!」
赤木キャプテンの妹・晴子は、今日も明るく元気いっぱいだ。
「あ、ああ。」
( 最近、あんまり春野さんと話してねーな……
この間の試合でぶっ倒れた時も
流川や牧が駆けつけてて、結局何もしてやれなくて。無力だよな、俺…… )
バスケ部襲撃事件以来、ずっと彼女と接点がない彼ら。
明らかに覇気の無い洋平に軍団のメンバーは必死で励まそうとする。
「おい、洋平。元気出せよ。」
「まだ彼女にフラれたわけじゃねーんだし。」
「そうそう。綾ちゃんとは友達なんだからいつでも分かり合えるだろ!」
「お前ら……」
「今度メシにでも誘ってみるか?」
「おっ、いいねぇ!」
「ダチ、か……そーだな、そうだよな。
よっしゃ、花道の応援すっか!!」
「そうそう! 4試合連続退場に向けて!」
先ほどの憂いはどこへやら。
まるでお祭り騒ぎの様に楽しそうな男たち。
様々な人間に見られているとは露知らず、綾はいつもの様に選手にエールを送る。
「先輩、ファイトです! 必ず勝って、ベスト8……準々決勝へと進みましよう!
ゴール下の彼と伍代さんのスリーポイントには特に気をつけてくださいね!」
「「おう!!」」
「……楓くんも、頑張って……!」
「必ず勝つ……!」
南郷はチーム内で一番の高身長。
センタージャンプでは赤木と互角に渡り合っていた。
「うりゃぁぁあ!!」
シュパッ‥‥!
開始早々、南郷にシュートを決められた。
「イェーイ!
綾ちゃん、君のハートにナイッシュだぜ♡」
顔を赤くして、綾に猛アピールをする南郷。
桜木は悔しさと怒りでストレスを溜めていた。
「なっ、南郷くん……」
( も~、そんな大声で……恥ずかしいよ。)
「愛されてるわね~、綾?」
「彩子さんっっ!」
津久武は小柄な選手が多い中、巧みなドリブルとパスワークで湘北のディフェンスを翻弄していく。
「メンバーチェンジ! 湘北!」
ついに桜木の出番が回ってきた。
「桜木くん! リバウンドを制する者は……?」
「ゲームを制す!」
「うん!」
親指を立てて、good luck! と桜木の背中を押してあげた。
「綾さん!
この天才の勇姿を見ていてください!」
桜木はコートという名の戦場へ旅立ってゆく。
( ファウルを恐れないで、桜木くん……! )
綾は手を合わせ、祈る様にして彼を見つめていた。
見守り続ける彼女のその出立ちは
まるで " 天使 " そのもの。
「あれ? おかしいですよ、仙道さん。
今、一瞬だけ春野さんの背中に翼が見えたような……?」
彦一は目元をゴシゴシとこすりながら呟いた。
「ふ……ほんと、牧さんがうらやましいな。」
( 春野か……不思議な女だ。)
先日、陵南を訪問した彼女は身体の大きな彼にに物怖じせず対等に接した。
あの日以来、魚住は綾のことを気に入りよく気にかけていたのだった。
「春野くん、大丈夫ですよ。
君が彼らのそばにいる限り、きっと大きな力を発揮できると私は思います。彼を信じてあげなさい。」
「安西先生……?」
この言葉の真意は今はまだ理解出来ずにいた。
そして後半戦に突入。
ゴール下の南郷の前に、桜木の十八番・高速フンフンディフェンスの鉄壁が立ちはだかった!
フンフンフンフンフンフン!!
「なっ!? なんじゃこりゃあ!?」
「ぷっ……あははは!!
桜木くん、めっちゃおもしろ~~い!
ああ、お腹痛い……」
人間離れした桜木の神技に、綾は腹を抱えて笑った。
「「!?」」
「おいおい、春野……試合中だぞ。」
「アンタって子は……」
「ふ、余裕だな……」
「なーに笑ってやがる……」
「綾ちゃん、やっぱおもしれー。」
「どあほぅ……」
心なしかメンバーたちも楽しそうだ。
( フッ……
あんなに笑っている綾は、久々に見たな。)
( 相変わらず、楽しいヤツだ。)
( あんなに笑って……やっぱり可愛いな。)
( よ、要チェックや。)
隙を突き、外から伍代がスリーポイントで射抜くが桜木に肘打ちで怪我を負わせてしまう。
納得のいかない彼はスポーツマンらしくないと審判に判断され、退場処分となってしまった。
「桜木くん……! こめかみに血が……!」
「大丈夫ですよ、これぐらい。
ただのかすり傷ですから!」
大黒柱を失ってしまった津久武だが、南郷は最後まで諦めることはなかった。
赤木、三井、流川の三人は宮城のパス回しによりどんどん得点を加算していく。
「先輩、楓くん! ナイッシュー!」
そして
桜木の引けを取らないリバウンドの活躍により
111-79 で、見事湘北が勝利を収めた。
「「やったー!! ついにベスト8だー!!」」
皆は勝利に歓喜の声を上げた。
桜木は4試合連続退場となってしまったが、リバウンドの記録が通算22本と素晴らしい功績を残したのだった。会場は大盛況だ。
「リバウンド王・桜木!」
「綾さん……」
後ろを振り返ると、彼女が立っていた。
背伸びをして、傷口にペタッと絆創膏を貼る。
「!」
「連続退場になっちゃったけど……
失敗を恐れずに頑張った結果だね! 今日の桜木くん、とーってもカッコ良かったよ!」
優しい笑顔と一緒にふたたび背伸びをし
首元にタオルをかけた。
「綾さん……」
「南郷くん。」
「! 綾ちゃん。」
試合に負けた悔しさか。南郷は綾に合わす顔がなく、フィッと背中を向けた。
「南郷くんもすごくカッコ良かったよ。
今度、一緒にバスケしようね。
この経験をバネに、練習頑張ってね!」
「!?」
急いで振り返ると、彼女は遠方から手を振っていた。
「やっべー……」
( マジで、可愛いすぎ…… )
ーー
綾はふと観客席に目をやると
愛しの彼の姿を発見した。
声をかけようとすると
「綾!!」
大好きな彼の声が、頭上に降り注いだ。
「紳ちゃん……! 本当に来てくれたんだ!」
「ああ! 湘北ベスト8、おめでとう!」
綾は花の様にふわりと、微笑んだ。
今、二人の間には
観客も、歓声も、何の障害も無い。
この空間に誰も立ち入ることはできない。
そんな強い愛が、絆が、そこにはあった。
おい見ろよ、海南大附属の牧だ……!!
神奈川No. 1の……!?
スゲェ……今まで気が付かなかったぜ!
あの女の子は……恋人?
あ! 知ってるぞ、あのコは……!
突然の帝王の声かけに会場がザワつき始めた。
その一部始終を見ていた部員たち。
綾の心から幸せそうな横顔が
彼の‥‥流川の胸を苦しめていた。
「…………」
( ジイ! )
( 牧、来ていたのか……!)
( コイツら、本当に付き合ってたのか…… )
( 二人とも、相変わらず良い顔してるな…… )
( 綾ちゃん…… )
( 綾ちゃんの本当の彼氏って、まさか……!? )