天使の舞〜悪魔の兆し 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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はぁ、はぁ……
早朝5時。
先日、試合中に倒れて以来綾は体力作りのために早朝ランニングを始めていた。
ちなみに髪型はゆるいポニーテール。
服装は淡いピンク色のTシャツにショートパンツ、ギンガムチェック柄のカジュアルなスニーカーを履いている。
( この前、紳ちゃんは
肩書きなんて気にするな、って言ってたけど……
やっぱり多少はプレッシャーを感じちゃうな。頑張らなきゃ! )
近所の公園を覗くと
( あっ、バスケコート……!
誰もいない! ラッキー! )
リュックサックからボールを取り出し
先日、海南で神に教わった3Pシュートやレイアップシュートの練習を開始した。
ダン、ダン、ダン‥!
シュッ…!
遠い場所から素早いドリブルでゴール下に向かい、華麗にシュートを決めた。
( えっと、確か……
膝をやわらかくして……全身を使って、打つ!
はぁ……
かすりはしたけど、やっぱり入らないや。)
3Pシュートは距離があり、なかなかに難しい‥‥綾は肩を落としていた。
( 宗くんや三井先輩はやっぱり凄いんだなぁ…… )
ー すると
「なんだ、そのヘンテコなフォームは?」
「!?」
声のする方に振り返ると
「み、三井先輩……!」
「こーやってやんだよ。見てな。」
シュッ‥‥
洗練された、綺麗なフォームで放つ‥‥
シュパッと爽快な音を立て、ボールは導かれる様にゴールネットをくぐっていった。
「わぁ……」
「まだまだ練習が必要だな、春野。」
「先輩、すごいです! 感動しました!
あ……おはようございます!
先輩もトレーニングか何かですか?」
「ちーす。まぁな、たまたま通りかかったらお前の姿が見えたんだ。予選もまだ何試合かあるんだぜ。
ここらで体力つけとかねえとやべーからな。」
「ふふっ。
二年間のブランクがありますもんねー?」
「うっせーな、いいからシュート練習始めるぞ! なんせお前は相当酷いレベルなんだからよ。」
「え……
そんなに酷かったなんて、ショック……」
三井の言葉にショックを覚えた綾は、一気に落ち込んでしまう。
「……だから、俺様が教えてやるって言ってんだよ。ありがたく思え。」
「え……! 本当ですか!?」
綾はパァッと顔を明るくした。
「あ、ああ。」
「先輩、ありがとうございます!
ご指導よろしくお願いします!」
( 笑ったり沈んだり喜んだり、忙しいヤツだな。)
おもしれーな、コイツ……と口角を上げていると、背後から何者かの声が。
「俺も、教えてやる。」
「「!?」」
「楓くん!? いつの間に……」
「流川……!」
「さっきから、そこにいた。」
親指を立て、後ろの金網の方を指差している。
ハッ!
綾は牧の言葉を思い出した。
ーー‥
もっと男に対して警戒心を持ってくれ。
二人きりになるなど、金輪際やめてほしい。
‥ーー
出来る限り束縛はしたくない‥‥
だが、他の男と二人きりになってほしくない。
綾を思ってこその言葉だった。
( 紳ちゃん…… )
「おはよう、楓くん。
楓くんも朝から練習? 精が出るね。」
「?」
「おい、春野?」
先ほどとは全く違う様子の彼女に、違和感を感じる二人。
「三井先輩、すみません。
やっぱり教えて頂かなくて結構です……
一人で鍛錬しますから。」
「は……? 春野?」
「アイツか。」
「え……?」
「牧に……言われたんだろ。
二人きりになるな、とか……」
「楓くん……」
「オメーはすぐ顔に出るから分かりやすい。」
「…………」
「……そうだったな。お前、
海南の牧の彼女らしいな。驚いたぜ。」
「はい……」
( ど、どうしよう……
こんなとこ、もし紳ちゃんに見られたら……
この間約束したばっかりなのに。
二人とも大切なチームメイトだけど
でも、男の人だもんね…… )
綾の顔が段々と青ざめていく。
「この間……」
「え?」
「お礼してくれるって、言ってた。」
「!」
「アイツと……
牧と別れろなんて言わねーから、
今度、津久武との試合に勝ったら……」
流川は綾の元へ段々と近付いて来る。
「……くれ。」
最後の言葉は小さくて、よく聞こえなかった。
「え……? 楓くん……? ち、近いよ……」
「おい、流川……!」
三井は流川に駆け寄り
制止しようとした、その時!
「くぉら、ルカワーーー!!
綾さんに何してやがる!!」
「「!?」」
ダダダダダ!と
遠くの方から桜木が凄まじい勢いで走って来た。
「さ、桜木くん……!!」
「チッ。」
とんだ邪魔者が乱入し、面白くない流川は舌打ちを浴びせた。
「桜木!」
「綾さん……!!
このキツネ野郎に何もされてませんか!?」
「大丈夫だよ? 桜木くんは優しいね。」
「なっ……そ、その服、すごくイイっすね……!」
「そうかな……? ありがとう。」
男たちは綾の体をじっと見た。
いつもより露出の高い服装にドギマギする。
( 確かに。似合う。)
( 朝から華やかだ…… )
「ったく、結局練習するのか? しないのか?」
ハッキリしやがれ、と三井はため息混じりで綾に問う。
「だって……
彼が、もっと男に警戒心を持てって……
それに私……
嫌われちゃったら、立ち直れないですよ……」
「「 !? 」」
だから約束は守らなきゃ、と笑った。
シュッ‥‥
綾はリングへ向かってボールを放つ。
すると
突如、オートバイの走行音がコートへと近付き
ヘルメットを被った謎の男がハイジャンプをし、そのままダンクを決めた…!!
「「 !! 」」
「す、すごい……!」
正体不明の人物の出現に男たちは眉をひそめる。
「あ"ぁ!? 誰だ、テメーは!?」
ガタイの良い男はヘルメットを外し、綾の顔をじっと見つめた。
前髪に茶色いメッシュを付け、遠目からザッと見ても180~190cmはあるであろう。桜木らと並ぶ高身長だ。
( 誰……? 紳ちゃんよりも高いかな……? )
「か、可愛い……もろタイプだ……」
謎の男は、一気に顔を赤くした。
「「!?」」
「ど、どちら様ですか……?」
「にゃろう……」
「テメー! いきなり現れて何なんだ!?
綾さんに近付くな!!」
桜木と流川は怒りを露わにしている。
「綾ちゃんっていうのか!
名前も可愛いな~。」
「慣れ慣れしく呼ぶんじゃねぇ!!」
ゴンッ!
桜木は男の胸ぐらを掴み頭突きをした。
が、男はビクともしない。
「おい! お前ら、やめろ!」
「ちょっ、ケンカはダメだよ!」
三井と綾は必死に止めようとするが‥‥
「俺は、津久武高校一年の南郷洸一郎!
赤頭、お前は!?」
「湘北の桜木花道だ!
よーく覚えていやがれ! メッシュ猿!」
「津久武って、今度の対戦校の……!?」
「桜木……?
あー! お前があの「脳天ダンク男」の桜木か!」
「ぬぬっ……」
三浦台との試合で、相手選手の頭上に豪快なダンクシュートを決めた桜木。
その珍プレーの功績により一気に知名度を上げた彼は今や高校バスケットボール界の有名人だ。
「それより桜木!
お前、綾ちゃんの一体何なんだよ!?」
「お、俺は……
綾さんの、恋人だ……!!」
「「!?」」
「桜木くん……!?」
( つい勢いで言ってしまったが……
いずれはそうなる、はず。)
「なっ……何だと!?
本当なの!? 綾ちゃん!!」
南郷は段々と綾ににじり寄って来る。
「え……ちっ、違……」
どうしたらいいのか分からず困っていた、その時
「俺がコイツの彼氏だ。」
「「!!」」
「だから近付くな、どあほぅ。」
そう言って流川は綾の身を庇った。
「楓くん!?」
「楓……? お前、あの富ヶ丘中の流川か!?
ちっ、何なんだお前ら!
もうどっちでもいい! 二人とも俺と勝負だ!」
「「何!?」」
「今度の試合で俺たち津久武が勝ったら、綾ちゃんは俺がもらう!
湘北が勝てば、いさぎよく諦めてやる!」
「え……!?」
「「上等だ!!」」
「じゃあね、綾ちゃーん!」
南郷は再びオートバイにまたがり、颯爽と去っていった。
コート内に先ほどまでの静寂が戻る。
( 何だったの……? 一体…… )
「あ……学校に遅れるといけないから、もう行かなきゃ。また後でね。
三井先輩も、失礼します……!」
「ああ……」
この空気に耐えきれなくなったのか。
痺れを切らした綾は三井にお辞儀をした後、立ち去ってしまった。
その場に残された三人は
「お前ら……春野のこと、好きだったのか?」
「なっ、ミッチー!」
「…………」
「あんな大口叩いちまって……
牧に殺されても知らねーぞ。」
「「!」」
ー 湘北高校・体育館。
放課後の部活は
案の定、今朝の話題で持ち切りだ。
フィッ‥‥
( マズイ。明らかに避けられている…… )
( チッ、彼氏はマズかったか…… )
綾は桜木と流川とはあまり目を合わせない様にしていた。
第三者として唯一現場に居合わせていた三井は、部員たちに事細かに事情を説明した。
「ぷぷっ。
なかなか面白い展開になってきたわね~。」
「彩子さん、他人事だと思って……
全然面白くなんてないですよ~!
紳ちゃんが知ったらどう思うか……」
「……紳ちゃん、ねぇ……
お前、本当に海南の牧と付き合ってんのか?」
「は、はい……」
三井の問い掛けに頬を赤く染める綾。
「先輩、結構有名人なんですよ、このコ。他校にも噂が立ってますから。」
「へぇ……」
「三井さん、ヤキモチっすか?」
「ばっ、なんで俺が!?」
宮城の言葉に動揺する三井。
「……?」
「春野、元気出せよ。
その南郷っていう男だって、事実を知ればきっと諦めてくれるさ。
要は試合に負けなければいいだけの話だろ?
お前が元気ないと、あの二人も……
桜木と流川も困るんじゃないかな。」
木暮は綾の肩に手を置き、優しい言葉を投げかけていた。
ジーン‥‥
「木暮先輩、優しいんですね……」
「お前はウチのムードメーカーだからな。」
「そうだよ春野さん! 元気出して!」
「うん。桑田くん、ありがとう……」
「春野、木暮の言う通りだ。
津久武ごときにくすぶっている場合じゃない。ブロックシード校の翔陽を倒し、さらにはお前の彼氏がいる海南にも勝たねばならん!
目指すは全国制覇なんだ!!」
「赤木キャプテン、ありがとうございます。私……こんなに素敵なチームメイトに囲まれて、とっても幸せです……!」
綾は嬉しそうに微笑んだ。
「でも……
彼も藤真さんも最後の夏ですし、簡単には勝たせてくれないんじゃないですか?
二人とも大切な人なんです。
試合になったらどっちを応援したらいいのか……
って、こんなんじゃマネージャー失格ですかね……?」
「「大切な人……?」」
「春野……お前に話がある。
近々、時間をくれないか。」
「赤木?」
「キャプテン……はい、分かりました。」