天使の舞〜悪魔の兆し 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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遡ること二年前……
俺は、宿命のライバル・海南大附属の一年
牧 紳一という"怪物"の異名を持つ男と何度も競り合ってきた。
同じPGであるがパワー・テクニック・経験……
圧倒的に奴の方がポテンシャルが高い。
それは俺も認めている事実だ。
選手兼監督の男がいると
神奈川勢に一躍有名となった我が翔陽高校。
時に監督としてチームメイトたちを支え、
時には選手として団結して点を取りにいく。
俺だって負けてはいない。
いや、負けるわけにはいかない!
今年こそ、俺たちがNo. 1になる年だ!!
そんな熱い闘志を燃やす日々の中で、ある風の噂を耳にした。
知る人ぞ知る、弱き風……
名もなき中学での女子バスケットボール部に所属する、ある彼女の存在だった。
その名は 春野 綾。14歳。
魅力的な選手……
まだ二年でありながら、その肩書きは何ひとつ嘘偽りのないもの。
正式な呼ばれは " コート上の天使 "
昔ながらのことわざで表すなら縁の下の力持ちといったところだ。
背番号は11番。
キャプテンでもなければ、エースでもない。
身長や体力、プレイスタイル等も一般的で、特にこれと言った特長は見当たらない。
しかし……彼女の秘密は他にあった。
最後まで希望を持ち続け、決して諦めない心を抱いている。
普段は温和な性格らしいが
いざ試合となると一変する、勝利への情熱。
マネージャーとしての任務も大成するであろう
部員へのサポートや的確な応急処置。
そして
花のように可憐な、その笑顔。
メジャーな存在ではないが、存在感がある。
脇役がいるからこそ、主役が引き立つ。
そんな魅力がたっぷりと詰まった選手らしい。
興味が湧いた俺は、牧を連れて試合会場へと足を運んだ。
女子の試合を観ることは初めてのことだった。
俺も牧も、バスケットのみに情熱を打ち込み今までロクな恋愛はしてこなかったのだと思う。
女にうつつを抜かしている暇はない、と
奴は嘆いていたが
次の瞬間、その言葉は風と共に過ぎ去ってしまった。
ーー‥
もう1分しか、じゃない。
まだ1分も、あるんだよ!
やるからには、絶対勝とうよ!
今まで精一杯やってきたじゃない!
もし今ここで負けてしまったとしても、
この経験はムダにはならない。
きっと、自分の糧になるはずだから……!!
‥ーー
ふわりとした優しい笑顔と共に放たれた、彼女の言葉……
この土壇場でチームメイトを勇気付けるなど、なかなかできるものではない。
俺と牧も面を食らった。
この瞬間、恋に落ちた ‥ーー
牧も、きっとそうなのであろう。
どことなく……彼女は奴に似ていたから。
「いい女だな……」
素直にそう思った。
俺たちは初めて意見が合致した気がする。
そして
とある日の試合中、彼女はこう叫んだ。
ーー‥
ナイッシュー!! 牧さん!!
‥ーー
全く気が付かなかった。
春野が応援に駆けつけていたんだ。
牧は彼女と目を合わせ、微笑んでいた。
試合前に、運良く彼女を見つけた。
今までの人生の中で女子とは何度も話したことも、告白されたこともあるが
意中の女性が目の前にいるというのに。話しかけるのも一瞬だけためらった。
柄にもなくドキドキしてしまっていた。
ーー‥
ふ、藤真さん……!?
ここに旬の苺がたっぷりで、美味しいって書いてあるので大丈夫だと思います!
藤真さんの方がとっても魅力的ですよ……!
‥ーー
最高に楽しい時間だった。
噂通り、普段の彼女はとても物腰が低く温和で
楽しい一面を持った人だった。
あの日以来、彼女が好きだという苺ミルクを見ると思い出す。
春野は、元気なのだろうか……?
その後、会場を少しの間だけ貸してもらい
バスケットコートの中心で俺たち三人は友情を誓い合った。
突然、彼女は泣き出してしまった。
初めて見たその涙や泣き顔でさえも綺麗だと思ってしまった俺は、重症なのだろうか。
うすうす感じていた、あの二人の恋模様。
きっと、好き合っているんだろう。
時が経ち、桜の花びらが舞う暖かい季節に牧は彼女に告白をした。
俺は想いを伝えることができなかった。
……いや、身を引いたと表した方が正しいか。
男ならば、紳士的に接したい。
彼女の幸せを一番に考えてあげなくてはな。
お似合いだよ、お前らは……
あくまでも友人・年上として
色々なアドバイスを授け、時には相談に乗ってあげたりもした。
それからと言うもの、彼女がどんな人なのか
たくさん知ることができて嬉しかった。
優しく、強く、泣き虫で
また、花がとても好きで道端に咲いているそれをよく見つけては嬉しそうに眺めていた。
印象に残っている言葉が幾つかある。それは
ーー‥
藤真さんはバスケ、お好きですか?
私も大好きです!
藤真さんが私たちを引き合わせてくれたんですよね。本当にありがとうございます……!
紳ちゃんは、私のどこが良くて好きになったんだろ……? 藤真さんは何か知ってますか?
‥ーー
最後の質問には驚いた。
いつの間にか、" 紳ちゃん " と
ラフな呼び方に変わっていたこと。
そして
自分を好きになってくれた理由を知りたいと……
そんなことを聞かれても回答に困るんだが。
しかし、きっと牧もこう思っているはずだ。
君のありのままの姿じゃないか……?
……と。
この言葉以外、思い付かない。
彼女はますますよく分からない、と嘆いていた。
だって本当にそうなのだから仕方がない。
可愛くて、愛おしくて……
彼女を抱きしめたい衝動に駆られてしまった。
が、それだけはしてはいけない。
今はもう、友の愛する女(ひと)なのだから……
二人が付き合い始めてひと月ほど経過した頃、
俺たちは極端に会わなくなってしまった。
お互いに忙しいということもあるがアドレスでも交換しておけば良かったと、ひどく後悔している。
あれから一年後、吉報が訪れる。
彼女が湘北の男子バスケットボール部にマネージャーとして入部したそうだ。
花形や一志たちがそう教えてくれた。
帝王・神奈川No.1の奴の肩書きが、ここまで情報を広めたのか……
今まで無名のチームだった、湘北か……
対戦できる日を心待ちにしている。
待ってるからな、春野!!