天使の舞〜悪魔の兆し 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ー 放課後
「初めまして。西東カナです。よろしく!」
神と清田の二人が綾を元気付ける目的と、先日中途半端に終わってしまったデートの続きをしたい! という清田の強い要望に応えるべく5人は駅で待ち合わせをしていたのだった。
「初めまして。主将の牧紳一だ。
君が西東さんか、綾から話は聞いてるよ。」
「綾ちゃんの友だち?
初めまして、俺は二年の神宗一郎。
こちらこそよろしくね。」
「一年のナンバーワンルーキー・清田信長だ! ヨロシクな!」
カナは彼らとは初対面。
どうしても牧くんに会いたい、とのことで急きょ同行することに。
6月に入り制服も爽やかな夏服に衣替えをし、皆が普段とは別人の様に見える。
( 紳ちゃん、Yシャツにネクタイ……素敵♡ )
( 綾……夏服も似合うな…… )
「今日は部活、大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。気にするな。」
「綾ちゃん、久しぶり……あの日以来だね。マネージャー業、頑張ってる?」
「うん……
久しぶりだね、宗くん。元気だった?」
「うん。綾ちゃんが元気ないって聞いて来たんだけど……どうやら取り越し苦労だったみたいだね。」
二人のラブラブっぷりを目の当たりにし、神はそうぼやく。
「もう大丈夫だよ。
二人とも、心配かけてごめんね。
またこうやって話せて嬉しいな!」
「綾さん! 俺も久々に会えて嬉しいっす……! 今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね。
相変わらず、元気いっぱいだね!」
ー そして
「清田くん、どこ行こっか?」
「そっすね……俺……
綾さんとたくさん話がしたいなぁ、なんて思ってるんすけど、ダメっすかね?」
「え……? 話すだけでいいの?
全然ダメなんかじゃないよ。
じゃあ、公園にでも行こっか?」
「はい!」
綾はてっきり、清田がカラオケやゲームセンターなどといった娯楽施設に行くのではないかと考えていたので少しばかり拍子抜けをしたが彼なりに何か考えがあるのだろうと、余計な詮索はしなかった。
「綾、牧くんと仲直りできて良かったね。安心したよ。
ていうか、写真よりもめっちゃイケメン!
こりゃモテるわ……
この神って人も……来て良かった~~♡」
面食いな彼女は大喜び。
「し、紳ちゃんは……ダメだからねっ!」
「はいはい、取らない取らない。
私、人のモノには興味無いから。」
「綾? どうした?」
突然の慌て様に不思議に思った牧は彼女に声をかけた。
「なっ、何でもな~い!」
綾は顔を赤くしていた。
一瞬だけ、親友にヤキモチを焼いてしまったのだった。
( ハハ、綾ちゃんがからかわれて動揺してる。面白いな~。)
「それに、宗くんはもちろんだけど……
清田くんもカッコいいよ?」
「「!?」」
「綾さん!?」
「……まーた、アンタは!
そうやって陵南の巨人や越野って人のことみたいにすぐ持ち上げるんだから!」
「「 陵南の……巨人? 」」
三人の頭上には疑問符が浮かんだ。
「あ、もしかして魚住さん?」
神がすぐに答えた。
「そーそー、この子、努力してる人は
みんな素敵でカッコいい! なんてほざくから、牧くんの前で言えば? って言ってやったんですよ。」
「「!!」」
「綾……」
「だ、ダメだった……?
仙道さんだけじゃなくて、魚住さんも越野さんもみんな頑張っててカッコいいなって。
実際に魚住さんと話してみたらすごく良い人で、楽しかったよ。
牧には絶対に負けない、って言ってたよ!」
( 綾、お前ってヤツは…… )
「……まあいい。
そこがお前の長所でもあるからな。」
( 牧くん……! さすが大人ね……
綾にはピッタリなのかも? 伊達に老け顔なわけじゃないのね。)
ーー
そんな中、街中に突っ立ている自動販売機が清田の視界に入った。
「綾さん! 喉渇きません?
俺、何か買ってきますよ!」
「そうだね。でも悪いよ、私もお金払うよ!」
「一応、今デート中なんすから!
それに、女に金を払わせるなんてカッコつかないっすよ。ここは俺に払わせてください!」
「そう……? 分かった。
じゃあイチゴミルクがあったらお願い。
なかったら炭酸でも何でもいいよ~!」
「OKっす!」
その後、ありましたよ~! と綾に缶を手渡した。
「どうもありがとう!
これね、藤真さんとの思い出の味なの。
紳ちゃんと私を引き合わせてくれた、大事なお友達なんだ!」
「「!?」」
「え……? 藤真ってあの、翔陽の藤真健司?」
「綾さん?」
( 綾、お前…… )
「フジマ? 誰?」
突然の問題発言に驚きを隠せない一同。
その人物を知らないカナは、首を傾げていた。
「牧さん、本当ですか?」
「ああ……二年前、魅力的な選手がいるとアイツに試合会場まで誘われてな。そのお陰で綾と出会えたんだが……」
「へぇ~、知らなかったな。
二年前ってことは、綾ちゃんは中二? 当時も可愛いかったんだろうな。」
「え!? そ、そんなことないよ。」
二人の馴れ初めを耳にした神は、彼女の当時の姿を想像していた。
ごく自然に口から出たその発言に対し、綾は可愛げなどないと言い切る。
すると
前方から、明らかに覇気の無い者の嘆きが聞こえた。
「……綾さん、
俺のこと、ちゃんと見てくださいよ……」
他の男の話をされショックだったのか清田は肩を落としたまま、トボトボと歩いていってしまった。
「清田くん……ご、ごめんなさい、待って!」
綾は清田を追いかけていった。
「デート中だって言ったのに……(しくしく)」
「本当にごめんね……
これもわざわざ買ってくれたんだもんね。
うーん……じゃあ、お詫びに一緒に飲もっ!」
「「!?」」
そう言って、綾は清田に飲みかけの缶を差し出した。
( え!? これって間接キスなんじゃ……!? )
「おい、綾! さすがにそれはダメだ。」
牧は慌てて缶を奪い取った。
「紳ちゃん? どうして? 美味しいのになぁ……」
( ちぇっ、もうちょいだったのに……! )
( 天然か! )
( 綾ちゃんは、やっぱり隙がありすぎる…… )
( まったく……困ったものだ…… )
油断も隙もないと、実に隙だらけの彼女に困り果てる牧。生きた心地がしないとはこの様なことを指すのかもしれない。
ー そして
突如、清田がとある疑問を投げかけた。
「綾さんは、失恋したことってあるんすか……?」
「え?」
「清田……!」
「俺も、興味あるな。」
「私も知りた~い。
綾ほどの美人なら無縁の話よね、きっと。」
「美人なんかじゃないって!」
「はいはい、謙遜しないの。
で? あるの? ないの?」
「……あるよ。」
「「!?」」
牧を除く三人は驚愕した。
「嘘~! 信じらんない!」
「綾さんを振っちまう奴がいるなんて……!?」
「牧さんは知ってたんですか?」
「いや……初耳だな。」
綾は切なげな表情で、ゆっくりと話し出した。
「中一の時にね、同じクラスのMくんって人に一目惚れして……電話で告白したの。
他に好きな人がいるからって言われて……
フラれちゃった。
当たって砕けろの精神で挑んだんだけど、ほんとに砕けちゃった。笑っちゃうよね。」
「いや……そんなことはない。」
「あの時は辛かったなぁ……
悲しくて、一日中ずっと泣いてたもん。」
あれは生まれて初めての愛の告白だった。
相手の反応を見ることを恐れたのか、対面はせず自宅から彼の家に電話をかけたのだが結果、恋は成就することなく幕を閉じた。
「綾……」
「「 綾さん(ちゃん)…… 」」
「今思えば、電話なんてしないで
直接会って伝えれば良かったかな……
あ、私……紳ちゃんがいるのにこんな話してごめんなさい。失礼だったよね……」
「いや、大丈夫だ。
その男とはどうなったんだ?
その後、友にはなれなかったのか?」
「な、なれるわけないよ……!
目が合ったり、遠くから姿を見つめているだけで充分だったんだから……
高校も離れちゃったし、今となってはいい思い出だよ。」
「…………」
「妬けるね、そいつに……」
「宗くん?」
「綾ちゃんにずっと想われてさ……うらやましいったらないよ。
もしもの話だけどさ、そいつと結ばれてたら
牧さんにも……俺たちにも会ってなかったかもしれないんだよね。」
「そうだね……
そう考えるとゾッとしちゃうね?
今はね、紳ちゃんやみんなと知り合いになれて、とっても幸せだよ!
宗くんも清田くんも、本当は辛いはずなのに
私とお友だちになってくれてありがとう。
早く素敵な人が現れたらいいね!」
と、彼女は晴れやかな笑顔でそう言った。
( 綾ちゃんより、素敵な女性なんていないんじゃないかな。)
( 綾さん…… )
( この二人、もしかして綾のこと……?
そりゃあ牧くんもオオカミになるわ。)
ーー
しばらくして、広い公園に到着した。
「わぁ、紫陽花がたくさん咲いてる~! カラフルで綺麗……もうこんな時期なんだね!」
「そうだな。」
牧は何かを思い出したかの様に微笑む。
「「 ? 」」
「アジサイ……?」
ハッ‥‥
清田の過去の記憶がフラッシュバックした。
( 俺と神さんは……しっかり見ていたんだ。
体育館前に咲いてたアジサイの花を見ながら、牧さんがずっと俯いていたところを。
男の勘で……しかも俺の勘だから
全く持ってアテにならないかもしれねーけど
もしかしたら、きっとあの時……
牧さんは綾さんのことを想って
泣いてたのかもしれない…… )
「ねぇ、清田くんはお花って好き?」
「え? 好きでも嫌いでもないっていうか……
今まで考えたこともなかったっす。」
「そっかぁ……」
「?」
「私ね、綺麗なものを綺麗だねって
言ってくれる人が好き!
趣味でも、価値観が同じ人がいいな。」
「それって……
牧さんが、そうなんですね……?」
「うん……」
「綾……」
「綾ちゃん……」
( 牧さんのことを好きな綾さんが、好きだった……
綾さんの声を、表情を、思いを……
この目に、この心に
ずっと残しておきたくて、この場所を選んだ。
失恋しちまったあとじゃ、おせーけど……
色んな綾さんを知ることができて楽しかった。
素敵な人、か……早く現れてくんねーかな?
なんて、心にも無いことを思っちまったんだ。)