天使の舞〜悪魔の兆し 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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翌日‥‥
ピンポーン。インターホンのボタンをゆっくりと押す綾。ここは牧の自宅。二人はきちんと目と目を合わせて話がしたいとゆうべ約束をしていたのだった。
すると、ドアが開いた。
「こ、こんにちは……」
「綾、待ってたぜ。」
彼の家に来たのは今日で二度目。付き合ってすぐの時に両親に挨拶をしたのが初だった。礼儀正しく気立ての良い彼女をとても気に入っており、二人は親公認のカップルなのだ。
ちなみに牧の服装はVネックの半袖Tシャツ(ブラック)にジーンズ。
綾の服装は花柄のワンピースに薄手のカーディガン(ピンク)を着ていて、髪の毛はおろしている。
「お邪魔します……
あれ、おじさまとおばさまは?」
「今日は用事があって帰ってこないそうだ。」
「そ、そうなんだ……」
( ……ってことは、
紳ちゃんとずっと二人きり……!? )
ドキドキ‥‥
ドキドキ‥‥
「~~っ……」
頭からつま先まで全身が真っ赤になるほど綾は熱を持ってしまっていた。明らかに意識していますと取れる態度に、牧も顔を赤くしていた。
「綾……お前……」
恥をかかせない様にと、綾の肩を抱いて引き寄せた。
「……!!」
そのまま二階に上がり、彼の部屋へ。
白と黒を基調とした机とベッドにテレビ、音楽機器と、シンプルな家具などが並んでいる。
いたって普通の男子高校生の部屋だが、壁にはNBA選手のポスターが貼られており
ガラス製のショーケースには歴代の試合のトロフィーなど彼の功績や努力の結晶が飾ってある。これにはさすがとしか言いようがない。
部屋の中心にある小さなテーブルを挟み、二人は対面式で話し始めた。
「あ……あのね。これ……
クッキー焼いてきたの。一緒に食べない?」
綾はカバンから綺麗にラッピングされた袋を差し出す。
「ああ、サンキュ。」
「……あとね! 四つ葉のクローバーでしおりも作ったの。紳ちゃん、読書好きでしょ?
授業中や勉強中でも、私を思い出してくれたら嬉しいなって……」
「綾……」
部屋に入るなり、綾は慌てた口調で話す。
先ほどから自分と目を合わさない彼女にとりあえず緊張を解そうと牧は言った。
「……サンキュ。
何か飲むか? どうせなら、菓子に合うものがいいよな。少し待っててくれ。」
と、牧は部屋を後にしキッチンへと向かう。
( はぁ……紳ちゃんに気を遣わせちゃった……
さっきから意識し過ぎちゃって……
私、何してるんだろう?
彼としっかり話し合うために来たのに…… )
「待たせたな。」
彼が用意したもの、それは
シンプルなソーサーとカップに注がれたホットコーヒーとホットミルクティーだった。
「紳ちゃん、ありがとう……いただくね。」
「ミルクティー、好きだよな。綾は。」
何のBGMも無いこの空間。
カチャ、という食器の音がやけに響く。
「うん。あったかくて、美味しい……」
コク深い優しいミルクの味わいが身に染みる。
向かい側からはサクッ、という咀嚼音も聞こえる。
「このクッキー、うまいよ。
菓子も作れるなんてすごいな。尊敬するよ。」
「そ、そう? 喜んでもらえて良かった。」
一通り味わい尽くすと、沈黙という名の無音が流れる。
そして、牧が重い口を開いた。
「陵南に……行ったのか?」
「!」
ーー
「うん……お友だちがね、仙道さんに会いたかったらしくて、半ば強制的にね……」
「友だち?
確か、西東さんって言ってたな。」
「そうそう、カナちゃん。
でもね、何もなかったから安心して!
魚住さんや相田さんと少しお話しただけだし、仙道さんは積極的に話しかけてくるからビックリしちゃって、思わず逃げちゃったの。悪いことしたかな……?」
フッ……
「そうか、逃げたのか。良い判断だ。」
なぜか、牧は嬉しそうだった。
「……? でね、藤真さん……」
「!!」
この瞬間、牧は明らかに動揺している素振りを見せていた。
「もう一年くらい会ってないから、元気かなぁって。そう思っただけだよ。
って、その反応……
もしかして、妬いてくれたの……?」
「……少しだけな。」
「そ、そうなんだ?
なんだ……それならそうと早く言ってくれれば良かったのに。もう隠し事はしないって、この間一緒に決めたじゃない。忘れちゃったの?」
「いや……」
「藤真さんとは、ただのお友だちだよ?
それに、向こうは私のことなんて恋愛対象として見てないんじゃないかなぁ。妹みたいな感じ……?」
「…………」
「楓……あ、流川くんだって、何とも思ってないと思うよ。私は単なるマネージャーだもん。」
( 違う……俺は、知っている。
二人とも綾に好意を抱いていることを…… )
牧は拳にぐっと力を込めた。
「綾……お願いだ。
もう少し、男に対して警戒心を持ってくれ……」
「え……?」
「お前を誰にも渡したくはない……!!」
「し、紳ちゃん……?」
「俺は……お前のこととなると途端に気が狂いそうになる。他の男と二人きり……
なんてことは金輪際、やめてほしい。」
「……う、うん。分かった。
この間、神先輩にも同じことを言われたよ。
隙を見せたらダメだって。
私……そんなにガード甘いのかな?」
「ああ……甘いな。甘すぎる。」
「ゔっ……ご、ごめんね……
でも、紳ちゃんだって……」
「ん?」
「他の女の人と、二人きりにならないでね。
こんなに素敵な人なんだもん……心配だよ。」
( 綾…… )
「俺が好きなのは、綾……お前だけだ。」
「……!!」
「この先……何があっても絶対に、だ。
俺を信じていてほしい。」
「わ、私……ずっと、紳ちゃんとは不釣り合いなんじゃないかって……
私なんかよりも綺麗な人やふさわしい人がいるんじゃないかって思って……毎日不安で……」
「……それ以上、言うな。」
「!」
「お前は……充分過ぎるほど、綺麗なんだ……
俺には勿体無いぐらいイイ女だと思ってる。」
「そ、そんなこと……」
「" 神奈川No.1 " の肩書きも、気にするな。
俺の顔に泥が塗られたって構わない。
お前にはずっと笑っていてほしい。
ただそれだけだ。」
「紳ちゃん……うん……! わかった……!」
綾は満面の笑みを浮かべた。
出会った頃からずっと変わらない、その笑顔。
やわらかくて、あたたかくて
どんな憂いも吹き飛ばしてくれる様な、そんな気がした。
ずっとこのまま、二人だけでいられたら ー
「紳ちゃん……大好き……!」
チュッ‥‥
「!!」
綾は、牧の頬にキスをした。
「ふふっ。紳ちゃんの方こそ、ディフェンス甘いよっ!」
わーい、神奈川No.1に勝った~! と嬉しそうに微笑む彼女。
牧はまさかの不意打ちに、顔が真っ赤に。
( フッ、参ったな……
どうやら俺は、心底お前に惚れてしまっているらしい…… )
「なあ、綾……」
「ん?」
「俺に勝とうなんざ、10年早いぜ。」
「え……?」
そう言って牧は立ち上がり綾の背後にまわった。
そして、ギュッと強く抱きしめた‥‥
「し、紳ちゃん……?」
気が付いた時には、彼の腕の中‥‥
バスケにより鍛えられた頑丈な肉体と、身長差により綾の体はすっぽりと包まれてしまった。
各々が持つ独特な香りと吐息に魅了され
二人は甘い雰囲気に溺れそうになっていた。
ドキドキ‥‥
ドキドキ‥‥
綾の心臓の鼓動はとどまることを知らない。
「お前が可愛いこと……するから……
もう、離さない……」
ー そして
綾は正面を向き、彼を見つめた。
「綾 ……」
「紳一 ……」
どちらともなく口づけを交わした。
短すぎず、長すぎず、優しすぎない‥‥
そんな、溶ける様な甘酸っぱいキスだった。
ーー
「優しく、してね?」
「ああ、もちろんだ……」
今宵、二人は幸せを噛み締めたのだった ー