天使の舞〜悪魔の兆し 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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「も~、帰ろうよ~~。」
ここは陵南高校の体育館前。
親友のカナは、自称イケメンキラー。いわゆる面食いというもので、男子バスケ部にカッコいい人がいるから! と綾は無理矢理連れてこられたのだった。
「も~、この間まで、楓くんにキャーキャー言ってたんじゃなかったの?」
「かっ、楓……!?
綾、ダメだって! マネージャーだからって易々と下の名前で呼ぶのは!!
だからこの間、流川親衛隊の被害に遭ったんでしょ!? あの時、アンタのことをどんだけ心配したか……」
「ご、ごめん……」
( でも、本人の意思なんだけどなぁ…… )
「ところで陵南のカッコいい人って……
もしかして、仙道さん?」
「そう、仙道くん!!
一度会ってみたかったんだ~♡」
「やっぱり……
魚住さんも、越野さんも、池上さんもカッコいいけどね。努力してる人はみんな素敵だし、カッコいいよ!」
「ハァ……」
何故かカナは溜息をついた。
「……それ、牧くんの前で言ってみたら?」
「え? なんで?」
「なんでって……」
( 綾……やっぱアンタは可愛いわ。
牧くんが嫉妬にまみれてる姿を見てみたい……なんて言えない。)
「この間、練習試合で負けちゃったし
偵察に来たみたいで気まずいよ……
カナちゃん、やっぱり帰ろうよ~。」
「嫌よ! 仙道くんの顔を拝むまでは……!」
入り口の前で話し合っていると
ドス、ドス‥‥
まるで怪獣の様な足音が聞こえる。
歩く度に、地響きがこちらに迫って来るのを感じた。
「……誰だ? ウチの制服じゃないな。練習の邪魔だ。部外者は出て行ってもらおう。」
「なっ……何この人!? デカ過ぎ!!」
陵南高校・男子バスケット部主将の魚住純が目の前に立ちはだかった。
2m越えの巨体にたじろぐカナ。見兼ねた綾が、ひょこっと顔を覗かせた。
「あ……魚住さん、ごめんなさい……」
「ん……?
お前は確か、湘北のマネージャーの……」
「は、はい……春野です。
お久しぶりです。先日は試合をしていただき、ありがとうございました。」
「マネージャーが何の用だ? 偵察か?」
「いえ、今日は友人と見学に……
ね、カナちゃん?」
「そうそう、私は仙道くんに会いにきたのよ。一体どこにいるわけ?」
「なんだと?」
言葉遣いが気に障ったのか、魚住はカナをギロリと睨みつける。
「カナちゃん……!」
オロオロと困り果てていると‥‥
「あれ? 綾ちゃん!」
綾の存在に気付いた彼は足早にこちらに向かってきた。
「「 仙道さん(くん)!! 」」
「仙道……見学がしたいそうなんだが、てっきりスパイかと思ってな……」
「大丈夫ですよ、魚住さん。
綾ちゃんはそんな悪いことするコじゃないですよ。ね?」
「!」
「お前がそう言うなら……
ただし、少しの間だけだからな、いいな!」
「はっ、はい……お邪魔します。
ありがとうございます、仙道さん。」
「ゆっくり見てって。」
彼はそう言ってニコッと笑う。
振り返ると、案の定カナの目はハートになっていた。
「失礼します……!」
二人は靴を脱ぎ、綾はというときちんとお辞儀をして体育館に入った。
「ふぅ。一時はどうなることかと思ったよ。」
「ごめーん。綾がいなかったら、あの巨人に閉め出されてたわ。感謝感謝!」
「巨人って……
今度、何か奢ってくれたら許してあげる。」
「じゃあ、ジュース一本で!」
「え~!? 感謝の気持ちがこもってな~い!」
二人はヒソヒソとお喋りをして盛り上がっている。
黄色い声をバックに、部員たちは皆一生懸命に練習をこなしていた。
すると、ある人物が大きな声で叫んだ。
「あ~!! 湘北のマネージャーさん!!」
「!?」
「わいは一年の相田彦一。お初にお目にかかります。以後よろしく頼みますわ。」
「春野綾です。こちらこそよろしくお願いします。
急に無理言ってごめんなさい……」
以前この体育館で行われた湘北との練習試合。あの時は接点がなかったため、二人は今日が初対面だ。
関西弁で話す彼はマル秘ノートと表記された書物を大事そうに抱えている。見るな、見るなと一面にそう書かれていて、彼女にはマメな人なんだなといった印象を受けていた。
「あれ?
今日は牧さんと一緒におらんのですか?
お二人は付き合ってるんですよね?」
「「!?」」
「は、はい……付き合ってます。
今日も練習で忙しいし、さすがにいつも一緒にはいられないですよ。」
「思い出したぞ! あの練習試合の日……!!」
魚住が何かを思い出したかの様に叫んだ。
ーー‥
インターハイ予選・決勝リーグで待っている!! 俺たちを倒したければ、ついてこい!!
‥ーー
(( 上等だ……!! ))
( なになに、この雰囲気? こ、怖い…… )
綾は牧の言葉を思い出すが部員たちの睨んだ視線が痛く、たじろいでしまっている。
「綾? 大丈夫? 牧くん、何したの??」
当時、現場に居合わせていなかったカナは何のことだか訳が分からず彼女に声をかけた。
ー すると
「……それだけ大事ってことでしょ。
ね? 綾ちゃん。」
遠くの方で仙道がすかさずフォローを入れた。
「そ、そう……なんですかね?」
( そういえば、ヤキモチ焼いてるだけだ、って前に清田くんに言われたっけ…… )
(( 神奈川No. 1プレイヤーの彼女か……
打倒、海南……!! ))
「お前の彼氏には、絶対に負けんぞ!」
「魚住さん……」
「綾、よくこんな大きい人と話ができるわね。ハァ……首が疲れるわ~……」
「カナちゃん、失礼だよ~。
魚住さんは、むしろこの大きな身体が武器なんだから! 活かさなきゃもったいないよ。
赤木キャプテンと並ぶ大黒柱なんだよ。紳ちゃんもゴール下での奴は凄いって、褒めてたんだから!」
「!?」
魚住は驚愕した。魚住純 (通称ビッグ・ジュン) は、一年の頃からただ大きいだけだと先輩たちに馬鹿にされ、何度もバスケ部を辞めてしまおうと考えていた。
そんな時、田岡監督が自分がどんな名監督でもお前を大きくしてやることはできないと‥‥
立派な才能だと、そっと背中を押してくれたのだった。
( コイツ……俺の過去を知らないのに…… )
「相手にとって不足なし!
ですよね、魚住さん!」
「おう、ありがとよ。
確か、春野と言ったな。
さっきは怒鳴って悪かった……許してくれ。」
「そんな、謝らないでください!
急にお邪魔した私たちがいけないんですから。
練習、頑張ってくださいね。
次の試合は必ずウチが勝ちますからね!」
綾は魚住の顔をしっかりと向き、微笑んだ。
「ああ……」
( 牧の女か……なるほど、面白い。)
どうやら、綾は魚住に気に入られたようだ。
( あの魚住さんが、女の子と打ち解けてるなんて……アンビリーバブルや!! )
( へぇ。魚住さんを怖がらない女子なんて初めて見たな。さすがだな…… )
ふと、仙道はある疑問を抱いた。
「綾ちゃん、牧さんのこと
" 紳ちゃん " って呼んでるんだっけ?」
「は、はい……」
「いいね。俺も " あきちゃん " って呼んでほしいな。名前、彰だからさ。」
「え……!?
カナちゃんが呼んであげたら?
私、隅っこで練習見てるから。じゃあね!」
綾はピューっと慌てて逃げてしまった。
「……綾?
うわー、近くで見たらやっぱりイケメン……」
カナはじっと仙道の顔を見た。
「? ど、どうも……」
( やれやれ……ガードが固いなぁ…… )
そして、体育館の隅で座り込んでいた彼女は
( 仙道さん……顔が近くてビックリした……
というか、紳ちゃんって顔が広いな。
やっぱり有名人なんだなぁ。
神奈川No.1だもんね……
ふぅ……何かちょっと、疲れちゃった…… )
この時、綾は自分の体に異変を感じていた。
「お~い、春野さ~ん!
牧さんとは、いつからお付き合いを始めたんですか? 教えてくださいよ〜!」
「えっ! 相田さん、いつの間に……?」
彼の情報収集能力を舐めていた。
何か執念の様なものを感じた綾は、言われるがままに質問に答える。
「えっと……
中学三年の時に彼から告白されて……
初めて出会ったのは中二の夏です。」
「えええ!? 牧さんの方から告白ーー!?
す、凄いやないですか!!
要チェックや、要チェックや……!!」
「「!?」」
「ちょっ……声が大きい~!」
「なになに、何の話~?」
カナが顔をニヤつかせながら近付いてきた。恋愛トークをしていればどこへでも飛んでいきそうなほどの野次馬っぷりだ。
「なっ……何でもないよ!」
「何でもなきゃ顔を赤くしたりしないでしょ。こらっ、白状しなさい!」
「ごめん、ごめ~ん。」
「……今でも、時々思うの。
あの時、私のどこが良くて好きになってくれたのかな……って。
本人に聞いたら、秘密だって言うんだもん。前に藤真さんにも聞いたことあるけど
君のありのままの姿じゃないか、って。結局分からずじまいで……」
「「!?」」
突っ込み所が満載で一同は対応に困っていた。
「藤真さんって、あの翔陽の?
春野さん、藤真さんとも仲が良いんですか!?」
「は、はい。
でも、かれこれ一年くらい会ってなくて。
県予選でウチと当たるので再会できるでしょうけど……元気にしてたらいいな。」
( どーいう意味が分かった気がする…… )
( 牧……イイ彼女を持ったな…… )
すると、次の瞬間
ダン‥‥!!
コート内に目をやると
仙道がド派手なダンクシュートを決めていた。
「わぁ……仙道さん! すご〜い!」
豪快なダンクを目の当たりにし、驚きつつも思わず笑顔になってしまった綾。
「! サンキュ。」
カナはまたまた目をハートにしていた。
ー そして
「長居してしまって、ごめんなさい。そろそろ帰りますね。」
「綾ちゃん、また今度会えるかな?」
「ん~……近々三浦台との試合があるのでその時にお会いできると思います。
宮城先輩や三井先輩も戻ってきてくれて、湘北はどんどん強くなってますよ。
次の試合、楽しみにしていてください!」
「「!」」
「それじゃあ、みなさん失礼します。田岡先生にもよろしくお伝えください。行こっ、カナちゃん!」
「じゃあねー、仙道くん♡」
嵐でも去ったあとの様に、館内は静寂を取り戻したのだった。
( な、何だったんだ……!? )
( あの笑顔は、マズいな……
それに、ライバルがうじゃうじゃいるとは……
そうこなくっちゃよ……!! )