出逢い〜告白ラッシュ 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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ーー‥
綾が中学二年の頃。
試合会場で初めて牧と目が合い、出会いを果たしたあの日。
会場内の自販機で飲み物を選んでいると‥‥
( うーん……イチゴミルクも捨てがたいし、ミルクティーもいいなぁ。どうしよう。)
なかなか決められず、ひとり唸っていると
背後から何者かに声をかけられる。
「君、甘いものが好きなの?」
「え……?」
ゆっくりと振り返ると、そこには黄緑色のジャージを着た人物が佇んでいた。
「えぇ!? ふっ、藤真さん!?」
「ああ。
翔陽高校一年の、藤真健司だ。初めまして。」
「こっ、こちらこそ初めまして!
春野綾です。
どっちも好きだから迷ってて……
もういいや、イチゴミルクにします!」
ドゴン‥‥
綾はあたふたしつつも硬貨を投入し、イチゴミルクの飲料を購入した。
「それ、美味しいの?
君がオススメするなら、俺も買おうかな。」
「えっと……
ここに " 旬の苺がたっぷりで美味しい "って書いてあるので、大丈夫だと思います!」
そう言って、缶の表面に記載してある文字を指差した。
「……ハハハ! 面白いね、春野さん。
ちなみに、君も今が旬な選手って言われてるよ。知ってた?」
「え? 私が……ですか?」
「ああ。笑顔が可愛くて、魅力的だって
みんなそう言ってたよ。……俺もそう思う。」
「!? な、何言って……
藤真さんの方が、とっても魅力的です! みんなカッコいいって口を揃えて言ってますよ!
藤真さんとこうしてお話してること自体、奇跡に近いというか……」
「……ありがとう。
話は変わるが、海南の牧紳一って知ってる?」
「はっ、はい! もちろん知ってます!
この間も一緒に試合してましたよね。
足も速くてパワーもあるし、すごい人だなぁって思います!」
( ……その反応…… )
「……そうか、ならいいんだ。
色々質問攻めして悪かった。
そろそろ試合が始まるから失礼するよ。
帰りに牧を紹介するから、待っててくれ。」
じゃ、と彼は颯爽と去っていった。
ポツンと呆然と立ち尽くす彼女は強めに頬をつねる。
( ……藤真さんとガッツリ会話しちゃった……
すっごい美少年! 輝いてた!
それに……牧さんに会える!?
色々展開が急すぎない!?
これは……夢? じゃない、現実なんだ。
一生分の運を使い果たしたかも…… )
ー それから数時間後
「は、初めまして……春野綾です。よろしくお願いします。」
「海南大附属一年の牧だ。
初めまして。こちらこそよろしく。」
( こ、この状況は一体……!? )
静まり返った館内。
綾と、牧と、藤真の三人きり。
試合後の会場を特別に使わせてもらっていた。おそらく彼らの知名度や顔の広さゆえに許されたことなのだろう。
「……試合、お疲れ様でした。」
「ああ、ありがとう。」
「あ、あの……どうして私のことを……?」
「……花だ。」
「え?」
「その辺の道端に咲いている花のように
自己主張しすぎず、控えめで……
それでいて、綺麗だったからだ。」
牧は少し顔を赤くしながら言った。
「えっ……牧さん……?」
「牧……?」
「俺は幼少の頃から、今の今までバスケットにのみ情熱を注いできた。
勝負事においては絶対に勝たねば気が済まないタチでな……
今後もずっとコイツに青春を捧げたい。
そう思って海南大附属に入学したんだ。
ガムシャラに突っ走った結果、今では「怪物」などと呼ばれる始末だがな。
いずれは全国に名の残るプレイヤーになりたい。いや、ならなければいけないんだ。
そんな時、藤真……お前に声をかけられてな。
……驚いたぜ。
切羽詰まった残り時間一分の試合で
チームメイトを気遣い、勇気を奮い立たせた。
春野……お前が放ったあの言葉と、笑顔にな。」
「……!!」
「経験は無駄にはならない。
きっと自分の糧となる……だろ?
な、春野さん。」
「牧さん……藤真さん……」
彼の心の内を初めて知った綾。
( やっぱり、この人は努力に努力を重ねてきたんだ。
道端にポツンと咲いていて
誰にも注目されずに、枯れていく。
何の変哲も無いただの地味な花だったのに。
こんな自分を、こんなに立派な人たちが
見つけてくれた。摘み取ってくれた…… )
「二人とも、どうもありがとう……」
綾は目に涙を浮かべ、微笑んだ。
「「!!」」
「泣かせるつもりはなかったんだが……
大丈夫か……?」
「春野さん……」
「ごめんなさい、すごく嬉しくて……
私……お邪魔でなければ、これからもお二人を応援し続けたいです!
お友だちになっていただけますか……?」
「「ああ、もちろんだ!」」
三人はそれぞれ握手を交わした。
今はまだ片想いのままでいい。
もう少しこのままの関係でいたい。
( 彼女が三年になったら、その時は…… )
( 大輪の花が咲くまで、待つかな…… )
( まだ……言えないよ…… )
それぞれの思いを胸に抱き、彼らは進む。
まだ見ぬ明日へと ー