出逢い〜告白ラッシュ 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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綾は、ある長い夢を見た。
二人の出会いは約二年前。
綾が中学二年の頃だった。
嫌でも汗が噴き出る猛暑の中、とある試合会場にて行われた女子バスケットボール県大会予選・決勝戦。
「女子の試合だと……?」
「ああ、そうだ。たまには観戦もいいだろう。
風の噂でこのチーム内に魅力的な選手がいると聞いてな、お前を誘ったってわけだ。」
そう話す彼らの名は
海南大附属高校一年・牧紳一と
翔陽高校一年・藤真健司。
二人は驚異の新人であり県内屈指の注目選手だ。
「……女にうつつを抜かしている暇はない。」
「まあそう言うな、牧……
……ん?
見つけた……あの11番。彼女だ。」
牧は渋々ながらもその方向に目をやると‥‥
相手チームにかなりの点差を取られ
もう巻き返すことは不可能だと仲間たちは落胆し、戦意を失っていた。
そんな中、彼女だけは‥‥
まだ勝機はあると、一切諦めることはなかった。
「もう……無理よ。
残りあと1分しかないじゃない!」
「……みんな、まだ落ち込むには早いよ!
1分しか、じゃない、
1分も、あるんだよ!
やるからには、絶対勝とうよ!
今まで一生懸命練習してきたじゃない、ベストを尽くそうよ!
もし負けてしまったとしても……
この経験は無駄にはならない。
きっと、自分の糧になるはずだから……!!」
そう言い放った後、チームメイトを不安にさせないためなのだろう。
彼女はニコッと微笑んだ ーー
「「……!!」」
男たちは面を食らっていた。
今まで出会ってきた女性の中に
これほどまでに芯が強く、又逆境にもめげず、
他人に優しい子がいたであろうか‥‥?
他の選手と比較しても
あまりシュートは得意な方ではない。
スタミナがずば抜けてあるわけでもない。
しかしケガを負った部員への応急処置は非常に素早く、驚くほど的確であった。
そして
花の様に可憐な、あの笑顔。
それこそが彼女の最大の魅力だったのだ。
彼らが夢中にならないはずがなかった。
その後‥‥
彼女の中学は見事に決勝戦で勝利し優勝を収め、MVPには三年のキャプテンが選出された。
「……いい女だな。」
「ああ……皆をまとめ上げる力を持っている。
経験は無駄にはならない、か。
フッ、大した女だ。気に入った。」
「春野綾か……
俺たち、恋のライバルになるのかもな。
牧……俺と勝負しろ!!」
「藤真……ああ、望むところだ。」
ーー‥
彼らと同様、綾も幾度となく高校男子バスケットボール大会の試合会場に足を運んでいたのだった。
「ねぇねぇ、あの13番の人、めっちゃカッコいいよね! 綾もそう思わない?」
「え? 藤真さんのこと?
確かに美形だと思うけど……監督 兼 選手……
二足の草鞋なんてすごいなぁって思う。
あの12番の牧って人も、すごいよね。
見てると胸がドキドキする……」
「え? 綾、牧さんのことが好きなの?」
「えっ!? ち、違うよ~!!
ただ、単純にカッコいいなって思っただけ。
それに "怪物" って呼ばれてるなんてさ、
きっと血の滲む様な努力をしてるんだろうなぁって。私なんかじゃ足元にも及ばないよ。」
「ふ~ん……その割にはかなり動揺してるけど?
……あっ! 牧さんがボール持った!
綾も思い切って声かけてみなよ!」
「え!? そ、そんな……恥ずかしいよ……」
「「キャーッ! 藤真さん! 頑張って~!」」
チームメイトの彼女らは、ここぞとばかりに黄色い声援を送っている。
恥ずかしいと尻込むが、ここでチャンスが。
牧は素早いボールさばきの後、見事シュートを決めたのだ。
ー そして
「ナイッシュー!! 牧さん!!」
「「!! 」」
勇気を振り絞って放った、その言葉。
牧と藤真は彼女の存在に気付き、ハッとした。
彼は観客席を見上げてニヤリと笑い、仲間たちの元へと走っていった。
「……すっ、すごいよ綾~!!
あの牧さんが笑ってくれるなんて!!
脈アリなんじゃないの!?
ひょっとしたらひょっとするかも……!?」
彼女たちはキャーキャーと大興奮。
「めっちゃ恥ずかしい……
でも、目……合っちゃった。嬉しい……」
ーー
そして、中学三年の春‥‥
彼の高校付近にある、並木通り。
満開に咲き乱れた桜の木の下での告白。
「春野のことが、好きだ。
俺と付き合ってほしい。
これからも、ずっと応援していてくれないか……?」
「……はい! 喜んで!
私も牧さんのことが、大好きです……!」
果実の様に頬が真っ赤に染まってゆく。
これが、二人の物語の始まりだった ーー