出逢い〜告白ラッシュ 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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灰色の雲が渦巻く、お世辞にも良い天気とは言えない今朝の空模様。
何か不吉なことが起きる前触れなのではないかと妙な胸騒ぎがしてならなかった。
ー 放課後
「水戸くん……」
「春野さん……」
いつもの様に体育館に向かっていた綾は同じクラスの水戸と出会す。
以前、彼に告白されてからロクに顔を合わせておらず互いにとても気まずい雰囲気だった。
( 告白の返事……まだしてない……
ちゃんと断らなくちゃ、水戸くんを傷付けるだけだよね…… )
「あっ……あのね、水戸くん。
この間の件なんだけど……」
「春野さん、危ない!!」
「え……?」
意外な言葉に驚く綾。
振り返ると、そこには出立ちの悪そうな男たちが立ちはだかっていた。
「おい、女……体育館はどこだ?」
「きゃあっ!!」
綾は先頭にいたロン毛の男に捕えられてしまった。
「知らねーな。それより、彼女を離せ!!」
「ああ? テメーには聞いてねえんだよ!」
男が放った蹴りを、持っていたカバン一つで受け止める水戸。
彼は桜木軍団のリーダー的存在。
そんじょそこらの不良よりも断然強い。
「へぇ……やるな、お前。
まあいい。この女は預かっておく。
俺たちはバスケ部をぶっ潰しに来たんだからな。いいカモになるかもしれねえぜ……」
「「 !? 」」
「なっ、なんだと!? バスケ部を……!?」
「……っ、そんなこと、させない……!!」
綾は男たちをキッと睨みつける。
「イイ女だな……強気な女は嫌いじゃねえぜ。」
「俺も好みだ。」
一番ガタイの良い鉄男と呼ばれるその男に気に入られてしまった綾。背筋が凍る様な感覚が彼女を襲う。
( い、嫌……紳ちゃん、助けて……!! )
「春野さん!!」
ーー
主将である赤木が不在の中、メンバーたちは普段通りの練習をこなしていた。
すると突然、体育館のドアが開かれた。
「よう、宮城……
バスケ部をぶっ潰しに来たぜ……!」
「み、三井さん……!?」
土足に煙草をふかし、突如として現れた不良集団に部員たちは動揺を隠せない。未だ鉄男に抱きかかえられたままの綾は身動きが取れず、腕の中で悶えていた。
「ハッ……!! 綾さんが!!」
「綾!!」
「みんな……やめてっ……!」
ー その後
彼女の悲痛な叫びも虚しく、部員たちは皆
頭から大量の血を流してしまっていた。
また、水戸率いる桜木軍団も登場し状況は有利になったと思えたのだが
「きゃっ!!」
綾の体は鉄男から三井の手に渡り、髪の毛を引っ張られ強引に腕を回された。
「……っ!!」
言葉にならないほどの激痛が走る。
ー そして
「ああ? 何だこりゃ。
部活中にこんな派手なモン身に付けやがって。コイツもぶっ壊してやる……!!」
「や、やめて!!」
左手首に身に付けていた淡い桃色の腕時計。
三井の手によって無理矢理引きちぎられ、床に思い切り叩き付けられてしまった。
盤面にはヒビが入り、その瞬間から時を刻むことを止めてしまった。
「……そ、そんな……」
「この女がどうなってもいいのか?」
「綾を離せ!!」
流川は声を荒げ、三井の顔面を思いきり殴りかかかった。
「ぐはっ……」
「よくも彼女を……許さねえ!!」
すかさず、傍にいた水戸が猛烈な勢いで腹部にパンチをかます。
流川は猛スピードで綾の元へ駆け寄り、安否の確認を急いだ。
「綾! 綾!」
「か、楓、くん……」
彼女はガクガクと体を震わせていた。
それを見た流川はすぐに手を握りしめ、安心しろ、と落ち着かせる様になだめた。
( 流川…… )
「何が湘北を強くするだ、全国制覇だ!
夢見させることを言うな!!」
「木暮……」
「一番過去にこだわってんのは、アンタだろ……」
「……!!」
ー すると
「おーい、私だ。開けてください。」
ドアの向こうから、誰かの声がする。
そこにいたのは‥‥
「……!!
あ……安西先生……
バスケが……したいです……」
三井 寿
栄光の中学時代‥‥
諦めかけ、心が折れそうになった際にそっと背中を押してくれた他ならぬ恩師。
安西監督との再会であった ー
ーー
安西監督の登場により襲撃事件は幕を閉じ、三井本人を含む不良集団たちはこの場を後にしたのだった。
しかしこの場にいる者たちは皆、満身創痍の状態。震えが少し収まった綾だったが先ほどの余韻が残っており、なかなか頭から離れずにいた。
( なんて悲惨な状況なの……!?
とてもじゃないけど見ていられない……
だけど、みんなを助けなきゃ……!!)
そう思った彼女はベンチ脇に置いてあった救急箱を手に取り、部員たちの救助に当たろうとしていた。
「あ、赤木キャプテン……
とりあえず、みんなの応急処置をしますね。
今この状態で公にするのは避けた方が無難かと……」
「春野、お前は大丈夫なのか……?」
赤木は綾の体調を気遣う。
すると、真顔のままこう答えた。
「お気遣いありがとうございます。
私は大丈夫です。最低限の手当てしかできませんが、ケアしてきますね。」
「そうか……すまんな。よろしく頼む。
彩子、お前も手伝ってやってくれ。」
「はい!」
( あっ…… )
メンバーたちの元へ急ぐ途中、大破した腕時計が持ち主を失い淋しそうに佇んでいた。
綾はそれをすぐに拾い上げ、胸の位置でギュッと握りしめる。
ーー‥
この時計を俺だと思って大事にしてくれ……
‥ーー
以前、彼から貰った大切な贈り物。
もう時を刻むことはできなくなってしまったが、それでも綾にとってはかけがえのない宝物。
( 紳ちゃん……ごめんなさい…… )
目を瞑り、涙がこぼれ落ちそうになるのを必死にこらえ心の中で何度も謝り続けた。
( 春野…… )
この場にいる誰もが、彼女を切ない表情で見つめていた。