出逢い〜告白ラッシュ 編
name change
夢小説設定ここでは名前を自由に入力できるぞ。お前の好きな名前を入れてみてくれ。それにより面白みも増すだろ。
と言っても女性ばかりだが……
ん? 最後だけ男か。奴は、アイツが初めて……
いや、すまん。何でもない。では、よろしく頼む。
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「ん~……あれ、ここは……?」
やっと目を覚ました綾。
気が付くと、時計の針は15時を指していた。
近くで基礎練をしていた清田は彼女に声をかけた。
「綾さん! やっと起きたんですね!
急にそんなとこで寝ちゃってたんでビビリましたよ~。
お弁当、超絶ウマかったっす!
ご馳走さまでした!!」
「ほんと? 良かった~。朝早く起きた甲斐があったよ…
って!! 私、こんな時間まで床で寝ちゃってたの!?
わわわわ、恥ずかしい……
変なこととか口走らなかった?」
赤面した頬を両手で押さえ、清田を見る。
「えっ……いやぁ、特に何も……」
無自覚でやっているのだろう。
自然と上目遣いになってしまっている。
( やばっ…… )
「そっか、良かったぁ……
あれ? そういえば、このジャージ……」
「それ、牧さんが掛けてくれたヤツっすよ。」
「そっか、紳ちゃんが……」
綾はジャージを大事そうに握りしめた。
「…………」
清田は彼女をじっと見つめている。
その時だった。
「おい清田、そのぐらいにしておけよ。」
「牧さん。」
「紳ちゃん!」
牧は清田の肩に腕を回し、ドスの利いた声で威嚇した。
「綾、目が覚めたのか。
プレゼント……ありがとう。大切にするよ。
弁当も、なかなかうまかったぜ。
あの顔は傑作だったな。もう少しパンチがあっても良かったかもな?」
ハハハ、と笑い清田から腕を解放した。
「!? も~っ、あれでも頑張って作ったんだから、からかわないでよ~!」
「すまん、すまん。」
甘い雰囲気が漂う館内。
ストイックで一切の妥協を許さない主将の牧が、彼女に対して優しい笑顔を向けている。
これだけでも大スクープものだ。
「……清田くんも黙ってないで何とか言ってやって!
なんか最近の紳ちゃん、変なんだよ~。
この間もみんなに挑発したり、今みたいに清田くんを威嚇したりするんだもん……
正直、ちょっと怖い……」
「それって、牧さんがただヤキモチ焼いてるだけだと思うっす。
流川と桜木って奴も、きっと、綾さんのことが好きだから……!!」
「「 !? 」」
「えっ……」
「清田……!」
本日二度目の衝撃発言。
部員達は皆、三人の会話に夢中だった。
「まだまだ練習頑張りましょう、牧さん!
とりあえずグラウンド20周してきます!!
次の試合もこのスーパールーキー・清田信長にお任せあれ!!」
内心マズいと思った清田は、この場に耐えきれず体育館を飛び出していってしまった。
取り残された二人。
しばらくの間、沈黙が続き‥‥
「あ……あの、ジャージ……ありがとう。」
「あ、ああ……」
( ~~っ、紳ちゃんが、ヤキモチ……?
それは嬉しいけど……
なんで今、桜木くんたちの名前が出てくるの?もう、色々よく分かんないよ……!)
彼にジャージを手渡したはいいが
綾の頭は混乱状態。
すると‥‥
「綾ちゃん、俺とスリーポイントの練習しようよ。
……いいですよね、牧さん。」
突然、神が綾に声をかけた。
「!」
「ああ、よろしく頼む。
俺もトレーニングを続けるよ。
……綾、清田が言ったことは一旦忘れてくれ。せっかくの時間が無駄になる。」
「紳ちゃん。」
「あとで1試合しようぜ。じゃあな。」
「う、うん……! そうだね、頑張るよ!」
牧は踵を返し、部員たちの元へ急いだ。
一度だけ振り返ると、神と目が合った。
( 綾…… )
「神先輩、声をかけてくれてありがとうございます!
もうどうすればいいのか分からなくなっちゃって……先輩が救世主に見えちゃいました!」
困った様に笑う綾を見て、神は普段通りに話し出す。
「ははっ、救世主?
俺もああいう雰囲気って苦手だからさ、助けてあげられて良かったよ。」
「私が、いけないんですよね。」
「え?」
「私がいつまでもハッキリしないから、みんなが困ってるのかなって思うんです。
紳ちゃんは忘れろって言うけど……辛くて……
って、自惚れんなよって感じですよね。
すみません、こんな姿……
先輩、ご指導お願いします!」
綾は俯きながら自嘲気味に話した。神は驚いていたが言葉を選びながら優しく、ゆっくりと口を開く。
「そんなこと、ないよ。
それに……綾ちゃんはそのままでいいんだよ。」
「え……?」
「笑顔を失った綾ちゃんなんて、見たくない。きっと、牧さんだって……
ほら、話してるとまたヤキモチ焼かれちゃうよ? よし、一緒に練習頑張ろう!」
「はっ、はい……! 頑張りま~す!」
二人は楽しそうに笑い合った。
(( 清田(信長)め……
戻ってきたら、とっちめてやる……! ))
ぶぇっくしょん!!
( なんだ? 急に寒気が……風邪かな? )
ーー
「そうそう、膝を柔らかくして構えて、全身を使って打つんだ。見ててね。」
シュッ……
シュパッ!!
「!!」
ボールが生きているかの様に綺麗な弧を描き、ゴールネットに吸い込まれていく。
何度見ても彼の繊細且つ確実性のあるシュートには魅了されてしまう。
「す、すごい……! よーし、私もっ……」
何度トライしても入らないどころか、ネットにかすりもしない。
「エアボールか……」
「全然届かない……がっくり……」
「ドンマイドンマイ!」
笑って綾を励ます神。
長距離に放つことがこんなに難しいとは。
中学で県大会まで出場した彼女だったが、個人的にはまだまだ改良の余地があるのだった。
「ふーっ。もう何十本も打ってるけど、全然ダメだ……やっぱり、先輩はすごいですね。」
「そうかな、ありがとう。
俺……ずば抜けて身体が大きいわけでも足が速いわけでもなくてさ、一年の頃から自分には何ができるんだろうってずっと考えてた。
シュートだけは得意だったから、これだ! ってピンときてからは毎日欠かさず練習するようになったんだ。
周りにも認めてもらえて嬉しかったな。」
「神先輩……
そのお陰で、海南のユニフォームを獲得できたんですね。
紳ちゃんが言ってた通り、先輩は努力の人。
とっても素敵です……!
好きこそものの上手なれ、ですね!」
「……!」
( キラキラした笑顔で、俺を褒めちぎる彼女。
さっきはあんなこと言ってたけど……
やっぱり綾ちゃんは無自覚なんだろうか。
こんなこと言われたら、どんな男でも落ちるんじゃないのかな。)
抱きしめたい衝動にかられた神だったが、グッとこらえ、綾を見つめた。
「おーい、先輩?」
「……ううん、何でもないよ。
もうすぐ時間だから、行こう!」
ピーー!!
「集合っ!!」
キャプテンの牧が指揮を執る。
「本日最後の練習は、綾を迎えての試合だ。女子だからといってナメてかかると痛い目に遭うぞ。
中学時代に県大会まで出場したことに加え、俺が直々に特訓した経験がある。
皆、よろしく頼む。
綾……コンディションは良好か?」
「紳……
牧キャプテン! はい、大丈夫です!」
いつもとは違ったかしこまった言い方に、フッと笑みがこぼれた。
「よし、お前の実力を見せてやれ!」
大柄な男たちに囲まれ、一瞬たじろいだ綾だったが高砂のディフェンスを難なく振り払い、すぐにシュート! と見せかけ背面から真横にいる武藤にすぐさまパスを出す。
「先輩! シュートです!」
「オッケー! 春野!」
シュッ‥‥
スパッ!
「やった! 先取点! さすが先輩……!」
「おう!」
( 綾さん、スゲェ!
ファインプレー! )
( フェイクか…‥随分見せつけてくれるね。)
( 生き生きしているな。それでこそ俺の女だ。)
結果、綾のチームが勝利し会場は大盛り上がり。これによりさらに後輩たちの人気が高まったのだった。
ー その後
片付けと清掃を済ませ、部員たちは家路に着いた。
「「「 お疲れっした!! 」」」
時刻は午後6時。外は薄暗くなっていた。
帰る準備をしていた綾の元に男たちが歩み寄り、声をかけた。
「綾、お疲れさま。今日一日よく頑張ったな。」
「紳ちゃん、ありがとう!」
「綾さん! 俺っ……
さっきは変なこと言っちまって、本当にすいませんでした……」
「だ、大丈夫だよ!
悪気があって言ったわけじゃないんだし……
そこまで気にしてないから。
ほらっ頭を上げて、清田くん!」
「綾さん……」
「!? きゃっ……」
感動のあまり彼女に触れようとすると‥‥
ゴン!!
牧の鉄拳が頭上に落ちた。
「いでーーっ!」
「ったく、お前は調子に乗りすぎだ!」
「清田くん、大丈夫……?」
「全然大丈夫でしょ、心配ないよ。
なっ、信長?」
「はい……」
( 見えるぞ、黒いオーラが…… )
清田は恐怖のあまりたじろいでしまった。
「こんな時間に一人で出歩くのは危険だからな。家まで送ってくよ。」
「ほんと? 心強いよ~。ありがとう。」
彼らはゆっくりと歩き出し学校を後にした。
今宵の空は雲一つ無く、満天の星空が広がっている。
三人の前を歩いていた綾が途端にくるっと振り返り、口を開いた。
「紳ちゃん、神先輩、清田くん……
今日は私の身勝手なわがままに付き合ってくれて、本当にありがとうございました。
一日入部体験……思ってたよりも遥かに大変だったけど、みんなと同じ時間を共有できて
すっごく楽しかったです!
明日からまた湘北のマネージャーに戻るけど、心の中ではみんなのこと、応援してるから……お互い頑張ろうね。」
「……俺も、楽しかった。」
「うん……また一緒にシュート練習しようね。」
「次は俺たちが湘北に行きますから、待っててくださいよ!」
彼女から真心のこもったメッセージは、男たちの胸の中に響き渡ったのだった。
ー そして
「ねぇ、見て~! 月がすっごく綺麗……
紳ちゃんも、みんなもそう思わない?」
「「!?」」
見上げた月にうっとりする綾。
太陽に照らされて光るその星の正体は、フルムーンであった。
本日三度目の衝撃発言‥‥
突然の事態に牧と神は赤面してしまっている。‥‥約一名を除いて。
「おーーっ、本当だ、めっちゃ綺麗っすね!
けど、あんまり見続けてると大猿に変身するかもしれないっすよ。」
「シッポが無いから大丈夫じゃない?
ふふっ、清田くんってほんと面白いよね~!」
「そっ、そっすか?」
取り残された牧と神は、呆然としていた。
( ったく、あの二人は…… )
( 危うく言いかけるところだった…… )
ー しばらくして
綾の自宅に到着した。
「三人とも、送ってくれてありがとう。」
「じゃあな、綾。」
「おやすみ。」
「ゆっくり休んでください!」
名残惜しそうに背中を見つめていた綾は、愛しの彼の名前を呼ぶ。
「あ……紳ちゃん……!」
「!」
「またいつか……会えるよね?」
「ああ、会えるさ。きっとだ!」
「うん……! おやすみなさい……!」
夜空の下で再会を誓い合う二人。
彼女はドアの向こうに消えていった‥‥