1.出会い
主人公の名前変更
主人公の名前変更お好きに名前を変換していただけます。
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私は昼過ぎに目を覚ました。バイトは夕方の5時から夜の10時までだ。夜型なのもあり、10時にバイトを上がってそこから軽く夕食を食べ、風呂を済ませ、アンプを繋げずベースの練習をして、寝る時間は2時を過ぎている。そのため起きる時間は昼前後になる。
「今日から新人教育か~」
昨晩店長から言われたことを思い出し、私はぼんやりとした視界をはっきりさせるため、枕元に置いた眼鏡を探す。外出時はコンタクトだが、家では、とくにすっぴんの時は眼鏡で過ごしている。そのため私の眼鏡姿を知っているのは家族だけである。
「出かける用意しよっかな」
私は遅めのお昼をいただき、顔を洗ってメイクをする。最後に長くボリュームのある髪を一つに束ねたら完了だ。
「まだ少し時間があるなぁ。CDショップでも寄っていこうかな」
そうして私はバイトまでの空き時間、CDショップに寄ることにした。いつも行くお店はバイト先からも近く、よく通っている。
店に着くと、少し離れた所にすごく背の高い、派手な男性を見つけた。身なりからしてとても目立っており、周りの人もちらちらとその男性を見ていた。男性が見ているコーナーはビジュアル系バンドのCDが並んでいるコーナーだった。もしかするとビジュアル系が好きなのかもしれない。そのためあの派手な身なりなのかもしれない。しかし私には特に関係ない。私は自分の好きなガールズバンドのCDを探し、掘り出し物がないか物色する。
「おっ」
パラパラとCDを見ていたら、持っていないシングルCDを見つけた。ラッキー♪ と思いながら私はそのCDを持ってレジへ向かった。そろそろバイトの時間だ。
そして何か慌てた様子で先程の男性がCDを持って私後ろに並んだ。私はさくっとレジを済ませ、バイト先のコンビニまで向かう。
そしてそこで異変に気付く。先ほどの背の高い目立つ男性がずっと後ろをついてくるのだ。とくにストーカーというわけではなさそうだが、何が目的だろう。
私は気になりつつも、通用口から店に入った。男性とはそこで別れた。私は制服に着替え、レジの中へ入った。すると、先ほどの男性が店長と話をしている。
(まさか)
私の中で一つの仮定が生まれた。もしかして、今日から入ってくる新人というのは……この男性なのか。
「あぁ、柳生さん。彼が今日から入ってくれることになった、四十物 十四くんだよ。優しく教えてあげてね」
「……はい」
やはりそうだった。背が高いから大人なのかと思っていたが、どうやら高校を卒業したばかりの18歳だそうだ。
(18歳でこの見た目と身長……モテるだろうな)
そんなどうでもいい事を考えていたら、四十物 十四と名乗った彼はそわそわした様子で私に声をかけてきた。
「あ、あの……制服って、どうすれば……」
「あぁ、裏にあるよ。背が高いからサイズ合うか分からないけど、大き目のやつ選んで着替えてきてくれる?」
「はいっす」
そう言って彼はバックヤードへ制服に着替えに入っていった。私は何から教えようか考えた。
「あの、着替えたっす」
「サイズあってよかった。十四くんは今までバイトの経験は?」
「えっと、少し……」
「少し……?」
「そ、その……友達というか、家族みたいな存在の人が遊びに来て、店がめちゃくちゃになってしまって、クビになってしまって」
「……今回はそうならないといいね」
「……祈る事しかできないっす……」
すでに半泣きで涙をぬぐっている。見た目に反して思った以上に幼い性格なのかもしれない。
「とりあえず最初はレジ打ちからね。まぁレジ打ちっていっても、商品かざしていって、セルフレジだから現金決済の人には特にすることはないよ。バーコード決済とかの時バーコード読み取るくらいかな」
「袋詰めとかは……?」
「袋必要って言った人にだけ入れてあげたらいいよ」
「はいっす」
「しばらくは横で見てるから。6時すぎると仕事終わりの人とかで忙しくなるけど、落ち着いて対応すればいいからね」
「は、はいっす……!」
ちらほらと仕事が終わった人たちが増えてきて、徐々にレジも忙しくなってきた。ここのバイトはおしゃれは自由なので私も青緑のメッシュを入れている。十四くんは黒をベースに金髪のメッシュが入っている。何より背の高さもあり、私たちのいるレジは比較的暇あった。待ちきれない人や常連さんは来てくれるが、あまり人が来ないためあまり教えることがない。
「や、やっぱり自分がいるからっすかね……」
「まぁ、私ら二人とも見た目派手だからね。まぁ暇でいいじゃん」
「そういうものっすか……?」
暇すぎるのも苦だが、忙しすぎるのも大変なので、新人の初日にはこのくらいがちょうどいいのかもしれない。
「よう柳生ちゃん。その子は? 新しく入った子?」
「お疲れ様です。はい、今日が初日です」
「そうなんだ。頑張ってね」
「あ、ありがとうございます」
そう言って常連のおじさんは店を去っていく。
そんな感じで適当にレジ打ちをしていたらあっという間に10時になった。
「四十物くん、柳生さん、上がっていいよ」
「はーい。十四くん先着替えていいよ」
「えっ、でも……」
「いいからいいから」
「ありがとうございます」
そう言って十四くんはバックヤードへ着替えに行った。
(あ、通用口どこか教えてなかった)
私は少し経ってから、バックヤードの扉をたたいた。中から「は、はい!」という声が返ってきたため私はそのままバックヤードの中へ入った。十四くんはすでに着替え終えた後だった。
「仕事の時の通用口教えてなかったなと思って。こっち、仕事の時はここから出入りしてね」
「わかりましたっす」
「じゃ、お疲れ様~」
「お、お疲れ様です」
十四くんがバックヤードから出ていくのを見届け、私も着替え、さくっとバックヤードを出た。すると、そこには十四くんが赤髪の短髪の男の子と言い合いをしている姿を見かけた。
(喧嘩……? いじめられてる?)
先輩としてどうするべきかあぐねていたが、とりあえず十四くんが困っているようだったので、先輩として間に割り入った。
「こらこら、喧嘩はよくないぞ」
「あぁ?! 誰だてめぇ」
「十四くんの先輩だよ」
「んだよ、こいつの先輩かよ。せっかく新しいバイト始めたのになんで俺に言わないんだよ!」
「だ、だって空却さんに言ったらクビにさせられちゃうっすもん~っ」
そこで私は十四くんが今までのバイトをクビになってきた理由を思い出した。家族みたいな人、と言ったいたので相当仲が良いのだろうが、確かにこの見た目にこの柄の悪さで店で長居されたらクビにもしたくなるだろう。
「まぁまぁ赤髪くん。十四くんはクビになりたくないらしいから、店に来るときは大人しく来てくれると助かるな。私的にも」
「はぁ? 拙僧はいつも大人しく……」
「大人しく入ってくる人はこんな所で揉めてません」
「チッ……」
「はいはい、二人とも未成年でしょ。早く家帰りな」
「柳生さん、今日はありがとうとございました!」
「いいえ~。しばらくは私がつくから。よろしくね」
「よろしくお願いします!」
そう言って私は家へ足を向ける。十四くんと空却と呼ばれた男の子たちは少し言い合いをしているが、そのうち帰るだろう。
私は早く夕食と風呂を終わらせ、新しく入手したCDを聞きたいため、いつもより少し速足に帰路についた。