三日目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しまった、と思った事は、決して顔には出さなかった。
平常心を装って、窓を開けてルビーを出してやった。
「もー!いないかと思ったー!」
半泣きでキルアの足にしがみつくルビーを、イルミは大きな瞳で窺うように見つめた。
鉄壁の無表情には全くの歪みも映さないが、その射抜くような眼からは確かに驚きが伝わってきた。
「お前を一人置いて出掛けたりしねーよ」
「こわい夢見てこわくなったんだもん」
「ちゃんといるから大丈夫だって、ホラ」
ルビーを抱き上げ、キルアは背中を何度もさすってやった。
その様子を、あたかも奇妙なものでも見るように凝視するイルミ。
「……どこの子?」
「ダチの娘。訳あって預かってるんだ」
「ゴン以外の友達…?
ああ、ハンター試験の時に一緒に来てた女か。そっくりだね」
一瞬、ギョッとした。
まさか、兄貴がリンの事を覚えているとは思わなかった。
「可愛いね。俺にも抱かせてよ」
「!!?」
今度はギョッとするどころではなかった。
耳を疑った。
いや、兄の頭を疑った。
「ど…どういう風の吹き回しだよ?」
「別に、俺ももう父親だしね。子供が可愛いって感情くらい理解できるさ」
「兄貴の場合、可愛いのは自分のガキだけだろ?」
その可愛いって感情だって、一般人が感じる " 可愛い " と同じ形とは限らない。
依頼があれば赤子だって平気で殺す事くらい知ってる。
「今は仕事中じゃないんだから、そんな勘繰らなくていいよ」
ほら、と両手を差し出してルビーを受け取ろうとする兄貴。
正気か?
何かするつもりかよ。
いや、そんなつもりなくても抱かせる訳ねーだろ。
「だめだ」
…言おうとした時、ルビーが両手を出して兄貴の腕の中に身を委ねた。
自ら抱っこされに行った。
「うわぁ、お兄ちゃん、キルアにちょっと似てるね!」
俺と同じように可愛がってくれると思ったのか、兄貴に抱っこされながらルビーは嬉しそうに笑ってその顔を眺めた。
・