退路なし
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最初から変だとは思ったんだ。
高いリスクを冒してまで女性に扮する事も
出国する際の護衛の仕事のはずが、その何日も前から呼び寄せられた事も
そして王女以外は皆、俺が男だと知っていた事も……
「最初から計画していた事なんですね。
王女の要望は " 同年の女の子 "…だけど国王や貴女方は敢えて " 女性に扮する事のできる男 " を会長に依頼したんだ」
厳しい視線を王女達それぞれに向けると、皆どこか後ろめたそうに、申し訳なさそうに表情を曇らせた。
「察しがいいのね…そう、私達はあの娘にこの国を出て行って欲しくないの」
「男性が嫌いな事で苦しんで、逃げるように養女になんて不幸だもの」
「全ては男性嫌いを克服すれば済む話じゃない」
「だから、貴方が必要なのよ!」
―――どうやら、今回は護衛の仕事なんかじゃないらしい。
ルル王女が男性嫌いを克服する為の人身御供。
……国王か?会長か?父さんか?
誰に騙されたのかわからなくなる。
ラタルは王女達の前でも構わずに不機嫌をあらわにし、席を立った。
「どうしたの?」
姉王女の一人が尋ねる。
「申し訳ありません、俺の聞いていた仕事内容と違うようなので帰らせて頂きます」
冷たく言い放ち、王女達を振り切ると部屋の出口へと向かうラタル。
「待って!貴方にしか頼めないの!これが最後のチャンスなのよ!」
「冗談じゃない!女だと偽って打ち解けた後に " 実は男でした " などと言える訳がなかろう!!尚更、彼女を傷付けるだけだ!!」
ラタルは王女達に向けて声を荒げた。
「ぶ、無礼な……」
「無礼はどちらだ!?王族とやらは皆こうなのか!?軽々しく人の心を利用して踏みにじって……
妹までをも騙すのか!失敗したらどうする?
彼女は今度こそ二度と男とは向き合う事すら嫌になるだろう!」
ラタルはどうしても彼女達のした事が許せなくて苛立ちを抑える事ができなかった。
……なにがハンターとしての初仕事だ
俺はこんな事をする為に、苦しい試練を越えてきたわけじゃない
こんな事をする為に、ハンターになった訳じゃないっ!!
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