残りの半分
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
日が傾き始めた。
「どうせ帰っても一人だしな」
惣菜でも買うか、とデパートに寄ろうと足を向けた時、ズボンのポケットに入れていた携帯が震えた。
着信の相手はクラピカ。
「もしもし、父さん!
試験はどうなってる!?」
まさかルルに何かあったのかと、そんな嫌な予感が先行して大声を上げてしまった。
「試験は終了した。二人とも無事だ 」
クラピカは小さく笑って、宥めるように優しい声で言った。
「終了!?まだ三日目なのに」
「まぁ、色々考慮して予定を変更したんだ 」
「とにかく!本当に母さんもルルも無事なんだな!?」
「ああ、もう何も心配はいらない 」
「……よかった……」
はぁ~~~~~~
と、果てしなく長い溜息を吐き、ラタルは道の真ん中にしゃがみ込んだ。
よかった……
母さんもルルも無事!
本当によかった―――!
「……で、合否は?どうせルルは落ちたんだろう?」
安否を確認したとあって、ラタルは気軽な気持ちで試験の結果を尋ねた。
「いや、姫は合格した。立派だったよ」
「へぇ!意外だな。よかった。で、母さんは?」
「……………」
「………まさか……」
「いや、試験は通ったんだ。無事ハンターライセンスは取得した。しかし、暫くは仕事などできる状態じゃない」
随分と悩ましげなクラピカの声。
ラタルの胸に一気に不安が広がる。
「怪我でもしてるのか!?」
嫌な程に早鳴る心臓。
眩暈に地面が揺れる。
「いや……違うんだ 」
「は?」
「その……最終試験が終了したのと同時に……」
「倒れたのか!?」
なかなか先を言おうとしないクラピカに、ラタルはもどかしくて体を揺らす。
「何なんだ!?母さんがどうしたんだ!」
「吐いたんだ。会場のど真ん中で」
「………はい……た?」
一瞬、キョトンと思考が止まる。
ま、まさか……
「妊娠4ヶ月だそうだ。まぁ……試験中に何事もなくて本当によかった」
「にんしん……?にんしんって……」
「お前も兄になるという事だ」
「………………………………………本当に……?」
若干の気まずさと、安堵なんだか何なんだが、訳がわからず茫然となる頭。
そこから先は何を言われても上の空。
「兄……俺に兄弟……」
電話を切って大分経ってから、ジワジワと湧いてくる実感。
ラタルは街中に響く大声で歓喜を叫んだ。
~続く~