残りの半分
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ダリアは泣きながらもう一度叫んだ。
「私っ……やっぱり……ラタルくんがハンターなのは恐い……
けどっ……好きなものは好きなの!
どうしたら、いいの!?」
道行く人達がこそこそと話しながら振り返る。
しかし、そんな事は少しも気にならない。
ダリアは必死に自分の気持ちを伝えた。
ラタルは背中を向けたまま深く俯き、その後一度空を仰いでから、ゆっくりと振り返った。
その表情は何かを堪えるように悲痛な眼差しをたたえていた。
「……ルルが……今、ハンター試験を受験しに行ってる」
「…………え?」
真っ直ぐに向かい合う二人。
涙に濡れたダリアの瞳が、ハッと見開かれた。
「ルルは……ハンターになる為に、今試験を受けている。理由は俺と生きていく為。
俺と……生きる為に、今命を懸けて闘ってる」
ラタルの声が微かに震えている。
どちらも歩み寄る事はなく、数歩の距離は保たれたまま。
「ルルちゃん……が……ハンターになるの?」
「わからない。受かればの話だ」
「命……懸けて……」
「俺が止めても聞かなかった。
傍にいたいと……愛していると……何度も跳ね返されて……」
そう、その時に思った
その台詞をもしダリアが言っていたなら
俺はもしかしたらハンターをやめていたかもしれないと
ルルに対しての一瞬の、裏切りだった
「俺はルルが無事に帰って来たら、その先はずっと護っていこうと思ってる」
ラタルの言葉に、ダリアは瞳の光をなくしていた。
頬に残った涙を両手で拭うと、視線を足元に落とし、口をつぐんだ。
「ルルをとても大事に思っている。ルルがくれる半分にも満たない気持ちかもしれないが、これからはちゃんと報いてやろうと思ってる」
ラタルはダリアの元へ静かに歩み寄り、頬に手を添えて顔を上げた。
拭ったはずの頬にはまたいくつもの涙が伝っていた。
「……ルルちゃんが好きなの……?」
「……多分」
「……そっ…か……
ルルちゃんには敵わないや……」
ダリアは泣きながら、笑った。
「すまない」
「ラタルくんは……悪くないよ……でも……
どうしたらいいのかなぁ?この気持ちは……どうしたら……」
声をしゃくり上げて泣くダリアを、ラタルは抱きしめないように自分の両腕に理性の制御をかけた。
「……俺だって……」
俺だって辛いのに……
それでも
この壁だけは越えられない
俺はハンターとして生きる為に、生まれたんだ――――
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