残りの半分
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ダリアは鳴咽を漏らして泣き続けた。
涙を拭うつもりはない。
ラタルはまた腕を額の上に戻した。
会うのが早過ぎた
正直な気持ちだった。
「ダリア……店空けたらマズイだろう。早く戻らないと」
「……ん……もう……少し……」
「行ってくれ。まだ……君に笑ってやれる自信はない」
「笑わなくていいよ!笑わなくても……そこにいて……くれたら……」
ダリアの言葉に心が乱される。
思わず心臓が高鳴った。
「止めてくれ。言いたくないが少し無神経だ」
「……あっ……ごめ……なさ……」
「謝るな」
責めたくない。
ダリアの事だけは責めたくない。
ラタルはきつく唇を噛み締めた。
「ラタルくん……ごめんなさい……私、酷い事をしてしまったと……今でも思ってる……」
「……よせ。君は悪くない」
そんな答えが精一杯なのに、ダリアは言葉を続けた。
「ラタルくんが、ただラタルくんであったなら、私は……と……何度も思った……
でも……それでも……私は今でもラタルくんが」
「やめろ!!」
張り上げた声は、広い公園の中に響き渡った。
「ダリアらしくない。本当に無神経だぞ!
その続きは聞きたくない、一生言うな!」
二度と戻っては来ないくせに
抱きしめる事はできないくせに
期待だけさせるなんて
余りに残酷だ!!
「君が行かないなら俺が行く」
責めたくないと思いながらも、やはりどこかで責めているのだ。
自分にとって何より大切な部分を、受け入れてもらえなかった。
辛くないわけ、ないだろう―――!
ラタルは寝ていた体を起き上がらせると、ダリアを置き去りにしてその場を後にした。
「待って、ラタルくん!」
「用なら簡潔に」
背中越しに言う。
小走りで着いて来る足音が聞こえる。
「私……っ……きっと……ラタルくんが一生好きです!」
涙声で叫ぶ声は、この世で誰より愛しい人。
ラタルが立ち止まると同時に、その足音も止まった。
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