残りの半分
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気付けば、目の前にはダリアの家が営む本屋。
ラタルは呆然と看板を見上げた。
――何をしているんだ俺は……
思わず血の気が引いていくのがわかった。
三ヶ月振り
たった三ヶ月なのに、毎日のように通っていたその場所、近隣の風景が懐かしくて胸に刺さった。
感傷に浸っている場合じゃない…
ラタルはしかと踵を返してUターンした。
五年間も、ダリアを目当てに通った本屋だった。
不意に足が向くのは当然とは言え 、自分に愕然とした。
早く見えない場所へ消えようと、一つ目の交差点を左に折れようとしたその時
「ラタルくんっ……!」
……その声に
状況は一瞬にして理解できた
俺の姿が見えたのか
外から少し店内の様子が見えただけで
今日は忙しいのだとわかったのに
それを放って追い掛けて来たのか
そんな泣きそうな声で名前を呼ばれるのはあの日以来だな
でもダリア
今……
今ルルがハンターになる為に
命を懸けて試験を受けに行っているんだ
俺と生きると言って
念まで覚えて
毎日毎日
毎日毎日毎日
クタクタになるまで、ボロボロになるまで修業して
だからダリア
俺は君の声に振り返る訳にはいかないんだ
例え君がただ懐かしんで、笑いながら俺の名を呼んでいたとしても
俺は違うから
君を見たらきっと、この足は君の元に駆け寄って
この腕は有無を言わさず、君の体を抱きしめる
だから
だからダリア
すまない
すまない、ダリア
ラタルは街の喧騒に耳を傾け、心の中でダリアの声を掻き消した。
その声は数回ラタルを呼んだ後、聞こえなくなった。
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