退路なし
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
早朝から散歩、朝食後の語学、ダンス、昼食、アーチェリー、ティータイムの談話、エトセトラ………
全ての時間においてラタルは同席させられた。
「姉様、私はラタルと友達になりました。これからは国を移るまでずっと一緒なの」
ルルが四人の姉達の前で誇らしげにそう発表すると、姉達は何故かホッとしたように顔を綻ばせた。
「あら、それは大変ね」
「ホント、明日からもう習い事やお勉強はお休みしたら?」
「ラタルと好きなように過ごしなさいよ」
「なんなら部屋も同じにしたらいいじゃない」
全員が大賛成の大喜び。
ルルに用意された女らしい服装に身を包み、化粧まで施して美しく飾られたラタルをまじまじと見つめ、満足そうに頷いている。
………て、
最後のお姉様は今なんと!?
「それは、いいわね!お父様に許可を頂いてラタルと同室にしてもらうわ!」
ルルはキラキラと瞳を輝かせてアフタヌーンティーの席を立ち上がった。
「お父様には私達で話しておくから大丈夫よ」
もうすぐ他国へ嫁ぐ長女のラーナ王女が言った。
「本当!?
じゃあ私はラタルの荷物を私の部屋に移してくるわ!」
ルルは大はしゃぎで部屋を出て行き、残された王女四人が、席についていたラタルを囲む。
「あ、あの……皆様方、少し、はやまりすぎでは……」
「ラタル、貴方を護衛の仕事よりも早く御呼び立てしたのには訳があります」
「養女に行くまでの半月、貴女がルルを支え、力になってあげるのよ」
睨まれているのに、縋られているような眼差し。
ラタルは察し難い事情があるのだろうと勘付いていたが、余りにも姉達の甘やかし方が尋常でないので、あからさまに眉をしかめた。
「理由をお話下さいませんか?」
厳しい表情と口調で、対面するラーナ王女に言う。
何故なら
彼女たちは自分が男だと知っているはずだからだ。
「だいたい俺と同室なんて本気ですか?バレない訳がないでしょう。意図がおありなら今、お話下さい」
すると姉の王女達四人は揃って表情を曇らせ、俯いた。
そして……
「…お願いよ、ラタル…あの娘をどうか…この国に留めて……」
・