逃げ場所
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「おい、何をそんなに泣くんだ」
少し戸惑ったように、次から次へと溢れ出る涙を拭い続ける。
「だいたい普通はダリアと俺が別れた方が嬉しいと思うんだが…」
「嫌よ…ラタルが悲しいのも嫌だし、幸せになってくれなきゃ……」
「俺は元々幸せだよ」
泣くなと言っても効かず、キリがないので、部屋の引き出しに入れてあったタオルを渡す。
「食べるのも住むのも困らず、自分を愛してくれる両親がいて、育んでくれる環境がある。
未来を自分で好きなように描けるだけの自由も。
…確かにダリアを失った事は……死ぬ程辛い。
経験なんだと数えられるほど冷静にもなれない。でも……」
言葉を止め、ルルの長い髪を指で梳く。
ただ黙って、ルルはラタルを見つめる。
「こうして、お前が俺を独りにしないでいてくれる。たった今、幸せだよ」
「ラタル……」
「ありがとう。お前の事も、もうずっと大切なんだ」
命を懸けて護ってくれた
俺の幸せを願ってくれた
キスで涙を消してくれた
そんなお前が
凄く好きだ
「帰るなよ、まだ俺と一緒にいたいくせに」
悪戯っぽく笑うラタルに胸が壊れるほど恋をして
ルルはこの夜、ひとつの決意を固めるのだ。
テキーラを空け、ルルの隣に横になるとラタルはすぐに眠りに落ちた。
一緒に寝る事が何の違和感もなく、当たり前になっていた。
無邪気な寝顔を見つめながら、ルルも安らかな気持ちで夢の中に落ちていくのだった。
~続く~