退路なし
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
淀んだ空。
せっかくクラピカが休みなのに、今日は雨。
そんな日はのんびりお昼まで布団の中にいたいのに、クラピカは規則正しく早起きだ。
『まだギュッてしてたいな~』
ベットから降りようとするクラピカの袖を掴んでリンが懇願すると、クラピカは呆れながらも優しくリンの髪を撫でる。
「一日が勿体ないぞ」
『あと10分!あ、5分でいいから!』
最近はラタルもいたし、クラピカもいない日が多かったし、ラブラブしたいんだもん!!
リンがしつこくねだってくるので、クラピカは仕方なく再びシーツを被る。
そしてリンの体を温かく包んでやった。
『ふふふ~っ!幸せ!
クラピカ大好き!!』
「お前は……毎日毎日、飽きもせず同じ台詞を」
『言い足りないくらいなんだけど(笑)』
クラピカがリンの顔を盗み見ると、それはそれは嬉しそうにニヤけて目を閉じている。
自分も自然と笑いが漏れた。
愛しい気持ちが満ちてくる。
「…何年経っても可愛いものだな」
『わぁっ、ホント!?すっごく嬉しい!!
クラピカぁぁ~~』
更に甘えてくるリンの顎を持ち上げ、その唇を自分のそれで塞いだ。
抱き締めて抱き合って、二人はいつしか微睡みに落ちていく。
『……そういえばラタル、今頃何してるかなぁ』
「あいつの事だから上手くやってはいると思うが……」
『楽しく過ごせていたらいいけど……』
その頃、多少の時差でラタルのいる王国は早朝。
ふと人の気配に目を覚ますと、目の前には王女のルルがいた。
「………どういうおつもりですか、王女」
勝手にノックも無しで(しかも人が熟睡中に忍び足で)入室してきたかと思えば、にこやかに人の寝顔を見つめているではないか。
「おはよう、ラタル!
早く目が覚めたから貴女と散歩でもしようかと思って!」
「……お…いや、私は遠慮します。それよりいくら王女でも勝手に」
「友達は一緒に行動するものよ!さぁ、起きて!」
「……勝手に……」
他人の話、聞く気ないのか……
王女はテキパキと部屋のカーテンを開け、ラタルに「着替えて」と言って服を投げて来た。
ホントに王女か、こいつ。
呑気なあの夫婦の願いとは裏腹に、ラタルはウンザリな朝を迎えていた。