逃げ場所
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『ら、ラタルー!!お帰り!!』
日が暮れ家に帰るなり、気配を感じていたのか母さんと玄関でハチ合わせ、必要以上に歓迎される。
「ただいま……遅くなってすまなかった」
意図の解らないその涙目にツッコミを入れたくもなったが、とりあえずスルーに限る。
『もう…帰って来ないかと思った……』
………何故に!?
い、いや、スルーだスルー…
ラタルは努めて無口を貫く。
聞かれれば話す覚悟を決めて来たのだが、聞かれないので自分からは言わない。
部屋へ上がるラタルの後をソワソワしながら着いてくるリン。
「……何の用?」
『あ、ううん!お夕飯できてるんだけど、リゾットと赤飯、どっちがいい?』
「!?赤飯?」
『だってめでたいじゃん。うまくいったんでしょ?』
ニコッ(ハートマーク)
ビキッ(怒りマーク)
が、同時にその場に出没。
「…うまくいったって…何が?」
この上なく眉間に皺を刻みつけて睨み一発かましてやる。
『ええっ!?な、何がって……え、えええっ!?』
まさかのラタルの反応にギョッと驚くリン。
『ちょちょちょちょちょっ』
「どこの珍獣だ」
『ちょーっと!!ちょっと待ちなさい、ラタル!!何が!?』
「だから!何が腑に落ちないんだ!?
見た通りだろ!俺が一人で帰って来た時点でそっとしてやろうという気にはならんのか!」
『え―――っっ!!嘘でしょ!?ダリアちゃんと』
「別れたんだ!満足か!?」
バンッと壁を叩き、そのままリンに背を向けて部屋へと行ってしまった。
その場に茫然と立ち尽くすリン。
『…嘘でしょ…じゃあ今、ダリアちゃんは…』
一人ぼっち……?
一瞬行かなければと思ったリンだが、ダリアの怯えた表情を思いだして気後れしてしまった。
自分に対してもやはり偏見はあるんだと思うと、行っても困らせるだけのような気がした。
会って慰めたい、励ましたいのに
無力すぎるよ、私………
リンは酷く落ち込んで自室に篭ってしまった。
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