逃げ場所
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昼を過ぎ、男二人でコンビニ飯を食べてキルアの昼寝に付き合って。
頃合いのいい時間になり、少し気も落ち着いたラタルは、自宅に帰る事にした。
「ありがとうキルア。いきなり邪魔してすまなかった」
「いいよ。それより今日の話はリンとクラピカには内緒だぜ」
「どうかな」
「なっっ!!テメェ!」
胸倉に延びて来た手を笑いながら器用にかわすラタル。
「冗談だ!キルアは幸せに暮らしてたと言っておくよ」
「なんだその小話みてーな説明!」
「なぁキルア」
ふっと笑みを消して、真顔になるラタル。
キルアも動きを止める。
「……母さんと出会った事、後悔してないか?」
震えそうなその言葉に、キルアは碧い目をハッと見開く。
目の前にいる少年がうんと小さく見えて、不意に切ない気持ちになった。
少しの間の後、キルアはその質問に真摯に答えた。
「一度もねぇよ。今の俺がいるのはリンがいたからだ。
出会えてよかったって心から思ってる」
嘘偽りのない、真実の心。
真っ直ぐラタルを捉えた瞳は、どこまでも強く揺らぎない。
ラタルは静かに目を閉じた。
「……そうか」
「お前は後悔してんのかよ?その女と出会った事」
「いや…そうだな…正直一瞬だけ、こんなに辛い想いをするならいっそ、と、思った。
けど今は感謝してる。会えてよかった…」
ダリアに会いたい、抱きしめたいと
これからどれだけ思うか知れないけれど
「だが、一つだけ……後悔している事がある……」
「?…なんだよ」
ゆっくり、ゆっくり目を開け、ラタルはゆっくり顔を上げた。
「一度だけ、ダリアを抱いた」
「は!?」
あまりの告白にビックリを通り越すほど仰天するキルア。
赤子の頃から知っている弟分の驚きの成長振りに、二の句が告げない。
絶句状態で硬直してしまった。
「……聞いてるか?」
「え、あ…ああ、えっと……それで?
何で後悔?」
不自然に焦りを隠して平静を装う。
「…自分の中にも、ダリアの中にも、お互いを深く刻みすぎた。古い考えかも知れないが、傷物にしてしまったんじゃないかと…」
「お前ね……」
「それだけじゃない。俺も…ダリアを知りすぎた」
抱かなければよかった
お互いの為に、知らなければよかった
あんな優しい夜
「…大事にしたんなら、それでよかったんだよ」
「…ああ…そうだな」
大事に触れて、愛しんだ。
だから二度と触れられない事が苦しいんだ。
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