逃げ場所
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「ラタル……うまくいったみたいね……」
『……だと、いいね』
40℃の熱にうなされながら、ルルが切な気に言った。
残酷な夜を越え、昨夜の雨が嘘のように太陽が明るく二人を照らす。
『あ、眩しい?カーテン閉めようか?』
「いえ、大丈夫」
『……もう少し寝ようか。私、リゾットでも作ってくるね』
気まずさに耐えきれず、リンは部屋から出た。
ラタルの幸せを願う心は同じなのに、根底には決定的に違う想いがある。
傷を負ったルルの傍にいなければならないはずのラタルがいない。
朝日を浴びた虚ろな横顔を、とても見ていられなかった。
ダリアとうまくまとまったのだと誤解していたリンは、まさかラタルがキルアの元にいるとは夢にも思わなかった。
「忘れる……って……」
ラタルの思いがけない涙に呆然とし、キルアは言葉を詰まらせる。
いつも会う度に仕掛けてくるトラップも、そういえば今日はなかった。
余裕に満ち溢れた笑顔もなかった。
ラタルをこれほど打ちのめす出来事が、確かにあったのだ。
「……振られたのか?」
わかった上で遠慮なしのキルア。
そんな直球を投げられるとは予想外もいいとこで、ラタルは思わず小さく吹いてしまった。
「まぁ、そんなところだが……お互いに嫌いな訳じゃなかった」
「じゃあ何で別れたんだよ?」
余りにもケロッとした声で聞かれるので、何だか逆に清々しい。
「…彼女は、普通の人なんだ。ハンターの仕事も念の世界も、何も知らない。
だが今回初めてそれに触れる機会があった。
……震えて…凄く怯えていた……」
ダリアの傷付いた泣き顔を思いだし、拳を握り締める。
「あー…当然っちゃ当然だけど……そんで振られた訳?」
「ハンターを止めてくれと言われた」
カップに口を付けようとしていたキルアがハッと顔を上げた。
ラタルを見ると、同じように顔を上げてキルアを真っ直ぐ見ていた。
頬の涙の跡は乾ききっていない。
「……なぁ、キルアならどうした?もし好きな人と傍にいる為の唯一の方法がハンターを諦める事だとしたら……キルアなら、どうした?」
真剣にキルアの瞳を見つめ、縋るような声で尋ねる。
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