走る、君の元
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もう二度と繋がる事はないのだと、ダリアの悲痛な涙でラタルは思い知った。
「ごめんね……ごめんなさい……」
ダリアの涙を拭ってやる事も
抱きしめてやる事もできない。
自分の肩に付属された腕が酷く無意味なものに感じた。
「謝るな……悪いのは俺だ……」
「違う!私が」
「俺が君より、夢を選んだだけだ」
力ない表情で、ラタルは微かに微笑んだ。
「すまない。ダリア……」
愛してる
愛してる
たった今、こうして手の届く場所にいるのに
……未来には……いない……
「ありがとう……」
「私の方こそ……」
ありがとう
元気で
「もう傘はいらないね」
「ああ……さよならだ」
向かい合い、互いの瞳に互いが映る。
こんな当たり前が、もう思い出に変わっていく。
突如の追い風に身を任せ、最後にラタルはダリアの腕を引き寄せると、力一杯抱きしめた。
「ラタルくんっ……」
「愛してる……」
心の奥底から全てを吐き出すように想いを込めて、その耳元に囁いた。
愛してた、と過去にするにはまだ早過ぎて
噛み締めるように
刻みつけるように
―――それは最後の永遠だった―――
信じていた未来はもう来ないけれど
二人が過ごした時間は消える事はない
死ぬまで一生、笑って君を思いだせるように
俺は明日を生きていく―――
―――ラタルは突き放すようにダリアを解放すると、何も言わずに、振り向かずに、雨上がりの道を走って行った。
水溜まりを避けもせず、真っ直ぐに………
「ラタルくん……ラタルくん……!」
―――綺麗な綺麗な
まるで夢のようだった
" 君じゃなきゃ駄目だ "
" いつか君の待つ家に帰りたい "
" 俺はダリアをそう思うほど好きだ "
" 俺を信じていて欲しい "
" 愛してる "
満天の空の下
誓った愛の言葉
たくさんたくさん、貴方は私に幸せをくれたのに
私は何を返せたろう?
「ラタルくん……ラタルく……」
その場に崩れ落ちるようにして、ダリアは泣き続けた。
ラタルを想うと、このまま生涯涙は枯れないような気すらした。
降り注ぐ陽射しが、その背中を撫でるように
優しく温かく照らしていた―――
~続く~