走る、君の元
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頑張ってラタル
幸せでいて
ダリアのもとに貴方の幸せがあるなら
ちゃんと守り抜かなきゃ駄目じゃない
貴方の幸せが私の幸せと決めたのだから
私はただ、背中を押すだけよ―――
「行って、ラタル……私の友達を……連れて帰って来て……」
傷に障らない方の手で涙を拭い、ルルは改めるように笑んだ。
胸に刺さる、笑顔だった。
「……ああ、わかった。行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」
握り合っていた手をそっと放し、ラタルは立ち上がった。
「ルル」
「…何?」
「…ありがとう」
ありがとう
王宮のぬるま湯に浸かりながり生きてきたと思っていた君が
こんなに強い覚悟を携え、他人の心を知り、優しく変える力を持っていたなんて
「君から貰った心を大切にする。もっともっと」
ルルの笑顔を最後まで見つめながら、ラタルは部屋から出て行った。
雨に濡れた足音は、あっという間に遠ざかって行った。
「私……ちゃんと笑えていた?」
『うん、凄く立派だった』
部屋の外で会話が終わるのを待っていたリンが、ルルの元に歩みながら答えた。
ラタルもその存在を承知でルルを置いて行った。
『ルルちゃん……辛くない?』
瞳に涙を一杯溜めてリンが尋ねた。
ラタルと繋がれていた手が冷えぬうちに、また握りしめる。
「辛くないわ。ラタルが幸せなら辛くない……
そう……決めたもの……」
なのに涙が止まらない。
呼び止めたくて仕方なかった自分を死ぬ気で抑えた。
『ルルちゃんて…昔の私に似てるね。なんか見てると懐かしくなる』
クラピカを想い
告白したけど拒絶されて
それでも、その気持ちだけが生きる理由だったから
クラピカから離れて、幸せを願う事だけを決めた
あの頃の自分―――
そうだよね
好きなんだもんね
「何故リンが泣くの…」
『ルルちゃんの分まで涙が出てきちゃうんだもん』
「私はちゃんと自分で泣いているわ。
これじゃあ二倍じゃない?」
『んじゃ未来の分!明日からたくさん笑えるように!』
「……そっか」
二人で寄り添い合いながら、リンとルルは泣いた。
雨は一層強く降り続けた。
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