灰色の王女
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「ねぇ、ラタル!私は貴女と友達になりたい!
私ね、家来や侍女達はいても友達はいないの」
突拍子もない事を言い始めるルル王女。
だがその表情は生き生き、キラキラとしている。
「私のような身分の者が王女の友達など務まりません」
「王女なんて呼ばないで!二人きりの時はルルと呼んで!」
「…無理です」
成る程…身分の高い者ならではの悩みだな。
きっと孤独なのだろう。
だが当然ここは断るしかない。
「短い間しか側にいないのでしょう?だからお願い!その間だけでいいの。私の友達になって!」
「…そういう理由で、護衛のハンターは"歳の近い女子"という条件をつけたのですか?」
言い方が少しキツくなってしまったかも知れないが、俺は疑問に思っていた事を正直に尋ねた。
しかし王女はそれを聞くと悲しい顔で俯いてしまった。
「……違う。私……本当に男の人が嫌いなの」
消えそうな声でポツリと呟いた。
「嫌い?」
「今度、養女に行く国は女性しかいない国なの。私の叔母が女王として国を治めているわ。
私があまりに男性嫌いで苦労しているから……父の計らいで養女に……」
この話になると彼女は明らさまに元気を失くした。
男性嫌いには理由があるらしい。
「そこの国では子供は皆、人工受精で授かるの。どこの国からの移民も帰化も、女性なら全て受け入れるわ。そこでならもう辛い事はないと思うの。
でも……この身分にいる限り、友達はまたできない」
王女は顔を上げて俺を真っ直ぐ見ると、ベットの上で頭を下げた。
「この通りよ!お願いだから私の友達になって!」
「お、王女!困ります!」
「ルルと呼んで!」
「無理ですよ!」
「命令よ!!」
「………っ!!」
なんだと――!?
ここで命令か!
何が友達だぁ!!
「私と友達になりなさい、ラタル!
二人きりの時は名前で呼ぶ事!敬語で話さない事!私と自身の心に正直である事!
いいわね!?」
ベットから飛び降りて俺の座るソファーまで駆け寄ると、王女は俺の両肩を掴んで見つめた。
……………ぐっ……
こ、断れる訳ないだろ………
卑怯だぞ!
「……わかったよ、ルル」
「きゃああっ!!ありがとう、ラタル!!
私、貴女が大好きだわ!」
王女は涙目でガシッと俺に抱き着いて来た。
というか…もう既に正直ではないのだが……
俺は君の嫌いな男だぞ。
「この二十日間、目一杯楽しく過ごしましょうね!」
ますますゲンナリな展開だが、何故か彼女の格別の笑顔を見てホッとしている自分がいる。
……とにかく二十日間、男とバレずに乗り切ればいい。
バレずに……大丈夫か?
「はぁ……」
極度に疲労した溜め息が無意識に漏れる。
ああ、ダリアに会いたい。
~続く~