刃-やいば-
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舞い降りたリンは、ラタルとルルが去る背中を見送り、ダリアの隣にしゃがんだ。
『心はともかく体は無事みたいでよかった。
ともあれ物騒だから行こっか!』
顔を上げると、リンのいつもと変わらぬ笑顔。
それすら、もう日常のものとしては享受できなくなっていた。
「リンちゃんもハンターになるの?」
『うん』
ダリアの唐突な質問に、即答するリン。
「普通、じゃ、ないんだよね?」
『普通が何なのかわからないけど、私の普通はこれだよ』
「危険が普通?」
『違うよ。クラピカがいてラタルがいて…毎日が二人に彩られて……護りたいと思う日常。
が、普通』
「そうじゃなくて……」
恐怖感もなくて
行動の全てが死と隣り合わせで
それを見送る私には
何の術もなく待つ毎日
それが普通?
『ダリアちゃん』
「リンちゃん……私には……無理……だよ……」
ダリアは絶望に打ちのめされたようにコンクリートの上で頭を抱え込んだ。
――恐ろしい敵に狙われた私を、ラタルくんが身を呈して守ろうとしてくれた時
ルルちゃんは迷う事なく、彼を庇ったの
その時に
……もう……無理だと思った……
傷付きながら、それでもラタルくんの身を案じ続けるルルちゃんに
暢気に敗北感を感じていた私には
もう傍にいる資格さえないと思った
ハンター
その存在を受け入れられないだけじゃない
人とは違う体を持って、目を持って
命も惜しまず
任務として、人を殺す
ラタルくんが怖いと
一瞬でも思ってしまった
自分が死ぬほど許せない!
「もう……傍にはいられないよ!こんなに好きなのに……離れたくないのに!!」
顔を突っ伏して、ダリアは泣き続けた。
リンの引き裂かれそうな想いが空にまで届いたのか
いつの間にか月は闇にその身を密め
冷たい雫が幾千と降り注いだ。
~続く~