刃-やいば-
夢小説設定
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「男……じゃ、ない……よね……俺……君が1番タイプなんだ……」
「気にするな。一人称が貴様と同じだけだ。
さぁ、俺に勝てたらこの首、貴様にくれてやる」
「ほ……ほんと?女の子だよね?信じるよ……
君を殺してから……体……調べるからね……」
「好きにしたらいい。さぁ、早く始めよう。来ないからこちらから行く」
―――最初から、負ける事はないとわかっていた
さすがだな、ネテロ会長
父さんには多々借りがあると言ってはいたが
息子とはいえ、俺も舐められたものだ
こんな噛ませ犬、任務だなんて押し付けられて―――
「こんな恰好、する必要もなかったかもな…」
そう呟いて、足元に転がる敵の死体を蔑むようにラタルは見た。
ものの一分もなかっただろうか。
ラタルの手により、大量殺人犯ニグナ=リバルはあっという間に壁に張り付けられた。
「大人しく刑に復する気があるなら、その身柄を預からせてもらう。
NOなら…今すぐに死ぬ事になる」
死ぬまで、その男は自分の胸に刺さる銛を引き抜こうともがいていた。
水をあげなきゃ、とか
鉢を変えなきゃ、とか
訳のわからぬ事を幾度か喚いた後
急に正気に返ったように静かになると
「――NOだ」
……そう、答えた。
覚悟を決めたのはラタルの方だった。
敵の両腕を静かに引き寄せると、壁に刺さった銛に残された丸い光。
――敵の、
「ならば、亡骸だけ預かろう」
苦しむ素振りもなく、敵は気を失うようにして倒れた。
躊躇いなく引き抜かれる銛。
御霊は風に乗ってキラキラと消えていった。
人の末路を物語るように……
「ラタル!ラタル!」
明るい声の発信源を見ると、重傷を負ったルルが懸命に立ち上がって泣いている。
「ルル……」
そこへ向かおうとして、足を止めた。
自分の手によって地面に張り付けたままのダリアへ視線を移すと、先程のまま静かに横たわっていた。
「……ダリア……」
約束した事は、難無く果たされた。
しかし、彼女の笑顔が待つ事は叶わないと
何故だろう。
まるで以心伝心のように
わかってしまう―――
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