刃-やいば-
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「ルル、すまない。ここにいてくれるか?」
「ええ、私は構わなくていい。ダリアを……」
傷付いたルルを隅の壁に寄り掛からせ、ダリアを見ると
真っ青になりながら泣きじゃくって震えていた。
「ダリア、ルルの近くにいてくれ。その方が護りやすい」
へたり込んでいる体を立たせようと腕を掴み上げると、逆にしがみつかれた。
「やっ……やだ……どうするつもりなの!?
逃げ……逃げないと……」
恐怖と混乱とでガクガクに震えながらも、強く強く引き止められる。
「……ダリア……すぐに戻ってくる。約束する。だから……」
「その目は……何!?
色が……なんで……なんでラタルくん……!」
そういえば言っていなかった。
母さんから受け継いだ胸の宝石は知っている。
生まれつきだと話すと、申し訳なさそうに君は黙ったっけ。
「これも、生まれつきだ」
「なんで……だって……」
放すつもりはないらしい。
腕に縋る力は篭る一方だ。
「ダリア、頼むからルルの側にいてくれ」
「嫌!この手を放したらもうラタルくんは二度と帰ってこないもの!
私にはわかるの!だから行かないで!!」
「ダリア!」
「いやぁっ!!」
聞き分けのないダリアを思いきり地面に押し倒した。
そして
その心臓目掛けて思いきり念の銛(もり)を突き刺した。
それはダリアの涙も動きも声も
一瞬で封じてくれた。
「……なら、ここから動かないでいてくれ。
必ず護るから……」
―――俺の能力のひとつ
ターゲットの背中に壁があれば
絶の状態でそこに張り付けにできる
ただし、確実に心臓を射る事
一度刺せば銛は俺にしか抜く事ができない
……念の存在も、きっとダリアは知らない
俺に何をされたのかすら、きっとわかっていない
わかっているのは目の前の現実
俺が君に、刃を向けた事実だけ―――
放心状態のダリアが抵抗を止めたのを確認すると、ラタルはゆっくりと立ち上がり、敵に対して真っ直ぐ体を向けた。
「お……お前……男……なの……?」
「待ってくれてありがとう。さぁ、始めようか」
全身のオーラは炎のようにみなぎり、緋色の瞳と同じ色をたたえていた。
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