灰色の王女
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俺が手を放そうとした時、王女が腰を屈めて俺の手をじっくりと眺め始めた。
「な、なんでしょう??」
「そなた、さすがハンターね。
鍛えている」
感心しながら俺の手を握り、品定めするように触ったり自分のそれと比べたり……
「ほら、私の手と全然違う。なんと大きな手。
逞しいものね。すごいわ」
「あ、ありがとう…ございます……」
「とても女の手とは思えない」
ギク―――ッッ!!!
俺とメンチの間に緊張が走る。
「あ………はは……」
「あ、気を悪くした?褒めているの、気にしないで」
「いや…はは……、はい……」
冷や汗が止まらない。
王女が呑気に俺の手なんかに興味を持っている中、メンチと俺は心臓バクバクで泣きたい気分だった。
ーーーそう。何故俺がこの仕事をあそこまで嫌がり、今もこんなに緊張しながらここに居なければならないか。
それは、俺が今、 " 女 " としてここにいるから!!
王女の要望が、 " 同年代の女の子 " だったからなのだ!!
超絶な男嫌いが故に、バレたらそれはもう大変だ。
会長の顔を潰さない為に、父さんの信用を貶めない為に、俺のハンターとしての今後の為に
絶対に絶対に、この任務期間の二十日間…バレずに乗り切らなければならないのだ。
「で、では私はそろそろ……」
「ええ、ご苦労でした。
会長殿にどうぞよろしく」
最後の挨拶を済ませてメンチは逃げるように去って行った。
くそ―――っっ!!
結局いつも自分だけが可愛いんだ、あの女は!!
フォローくらいしろっ!!
「さ、ではラタルはさっそく私と行動を共にしてもらいましょう」
やさぐれている俺の手を引っぱり、王女が立ち上がらせてくれた。
「あ、あの」
「今日は長旅で疲れたでしょう。私の部屋に来なさい。お茶を用意させます」
王女はニコリとロイヤルな笑みを浮かべて俺の手を引いた。
いきなりの誘いにびっくりだ。
俺のような一般人が王女の部屋でお茶!?
周りが止めに入らないのが1番驚きだ。
「お…私などが宜しいのですか?」
「ええ。私は貴女と二人で話がしたいの。
ミーア、お茶とお菓子を持って来て」
「はい、ルル様」
侍女らしき者が王女の命に傅いて応えた。
というか…いきなり二人きりにさせられるのか……
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