面会人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―――ルルが氷のように固まってしまった。
二人で見つめ合ったまま。
手は……辛うじて振り払われていない。
ここは水の中で、ルルが泳げないからなのだが。
それより、先の見えない沈黙が痛すぎる。
何故なら
ルルは氷になりながらも号泣しているからだ。
「ルル……すまない」
堪えきれずに口を開いたのはラタルの方だった。
「すまないって……何を……どれの事?」
返事が返ってきた事に少しだけ安堵。
「女だと騙った事だ。ルルの心を傷付けた。すまない。だが、後は謝るような事は何もない」
「……ラタルは私が好き……?」
「!……もちろん。友達だと言ったのにも嘘はない」
お、これはいい流れだと取っていいのか?
「……でも男なのよね」
「そうだ。俺は俺、男だが女であった時と何ら変わりはない」
「……私……ラタルは怖くないわ……」
「ありがとう」
「触っても……気持ち悪くない。むしろ嬉しいわ」
「本当か?」
「私、ラタルが大好きだもの……」
「……うん……ごめん。ありがとう」
ボロボロと大粒の涙を零しながら、ルルはラタルの肩にゆっくりと額を預けた。
「ラタル、いい匂い。……ぐすん……」
「男だからって君を傷付けたりしない。
傷付けるほどの力は持っていても、護る力に使うから」
「護るって私を?」
「そう。ルル王女をな」
「私……私……ラタルが男でも大丈夫だわ」
「……よかった」
ふーっと長い溜息が漏れた。
心底ホッとした。
賭けで敗れた事はないが、実に一世一代の賭けだった。
ハンターとしての初仕事、協会からの直々の命、相手は王族。
敗れればタダじゃ済まなかった。
そんな冷や汗も乾いた頃、気付けばルルをしっかり抱きしめていた。
「わっっ!!
すまない、そんなつもりは微塵も!!」
我に返り慌ててルルを引っぺがすと、カナヅチ健在でストーンと水の中に消えてしまった。
「わああっ!大丈夫か?!」
その後も謝り通しだったラタル。
でもルルは少しも怒ってなどいなかった。
・