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携帯だけを大事そうに握りしめて、息を切らせながらダリアはやって来た。
『どうしたの!?何かあった?
あ、とにかく入って!
実はチキンのトマト煮が余りまくってて!!』
半ば強引にダリアを部屋に引き入れるリン。
「あ……大丈夫……です、お構いなく……」
『何、かしこまっちゃって!
ラタルの母親だからって今までと変わらず友達でいるって約束したでしょ?』
「うん……でも……」
『さ、食べて食べて!』
ダリアの言葉は全くは聞き入れず、リンはダリアをテーブルに着かせると目の前に料理をズラリと並べた。
『どーぞ!!』
「い、頂きます……」
呆気に取られながらもダリアは遠慮がちに一口、パクンと食べた。
『で、今日はどうしたの?ずいぶん慌てた様子だったけど。』
リンも中断していた食事を再開し、おかずをつつきながらダリアに尋ねた。
すると、ダリアは一口目を運んだフォークをくわえたまま、ポタポタと涙を零した。
『えー!!?なななななんでっっ!?何!?』
「えぐっ……うっ……ごめ……なんか……ラタルくん、こんな美味しい料理食べて育ったんだなって……なんか切なくなっちゃって……」
『……どういう事?ラタルがどうしたの……?』
鳴咽を漏らしながら泣き始めるダリアに、リンは隣に席を移って背中を摩った。
「約束したのに、ラタルくん……仕事を始めても連絡するって……なのに、全然連絡取れなくて……最初の一回、電話くれた時に……女の子の声……」
『げ。』
王女だ!王女の声だ!
クラピカから聞いた限りだとラタルは今、王女と同じ部屋で暮らしてて……
連絡する隙もないはず!
『ダリアちゃん、ラタルは仕事で……』
「仕事で女の子の声?
リンちゃん、何か知ってるんでしょ?
教えて!私、もう限界なの……ラタルくんを待つのが辛いの……!」
縋るようにリンの袖を掴み、必死で懇願してくるダリア。
『でも……』
今回の仕事は極秘任務。
教えるわけにはいかない。
しかしダリアの気持ちは痛いほどわかる。
ラタルだって彼女にこんな思いをさせたいわけがない。
そう思った。
『……よしっ!!わかった!私が何とかしてあげる!!』
こうしてリンの悪い癖、発動……。
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