夜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
カチャーン………
リンの手から、ゆっくりとワイングラスが滑り落ちた。
透明な音と共に一瞬でテーブルの上が真っ赤に染まる。
「……あーあ、何をしてるんだ」
『あ、ごめんっ!』
テーブルを拭こうと台拭きに伸ばされた二人の手が、偶然重なった。
不意に視線がぶつかる二人。
『きゃ~!ラタルくんの手触っちゃった!どーしよー!!ドキドキ!
……って、普通ならなるところだよね』
唐突に訳のわからない事を言い出すリン。
ラタルの肩が微かに下がる。
「母さんが相手じゃ、なるはずないだろ」
『そっか!でもラタル大好きだよ!』
「知ってる」
『えへへへへっ!』
不自然な明るさを振りまいて、不自然なほど元気にテーブルを磨きまくる。
「……聞きたくないのか?」
リンの手が止まり、ハッと顔を上げる。
笑みは消えていた。
「聞きたくないなら、無理に話したりしないから」
少し心配そうなラタルの表情。
リンの肩が、小さく震える。
『ひとつだけ……教えて』
「何だ?」
『クロロ……今、どこにいるの?』
今、どこで何をしているの?
そういうニュアンスではない。
今
いるの?
生きてるの――――?