朱い髪の小さな天使
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リンはひたすらニコニコしていた。
向かいのラタルを見つめ、愛おしそうに目を細めて。
ラタルも応えるように視線を受け止め、微笑んでいた。
『心、休められた?』
「……だいぶな」
詳しい事、たくさん話したい事があった。
しかし、今はまだ……
「可愛い妹を産んでくれてありがとう。びっくりした」
『え?ルビー?えへへ、めちゃくちゃ可愛いでしょ?』
「お兄ちゃんって、母さんが教えたのか?」
『んー、写真見せて、これがお兄ちゃんだよって。今旅に出てるんだよって言ってた。
ずっと会いたがってたよ』
「そうか……俺もずっと、会いたかった」
『だと思う』
リンの目に光る涙。
ハッとするラタルを遮るように、首を横に振る。
『気にしないでね。勝手に出てくるだけ』
奇跡を目の当たりにしているようだった。
5年間という、長い歳月
それは待つ者にとって果てしなく、気が遠くなる程に絶望だった。
しかし、昨日には思いもしなかった景色が目の前にある。
とても言葉にはならない想いに満たされ、無意識に溢れるものだった。
『……楽しい事もあった?』
「ああ……たくさん」
『一緒に行った人って、いい人だった?』
「……凄く」
『……よかった』
「……………」
『よかったね』
「母さん」
『んっ?』
ラタルが注いだワインを、自分のグラスで受け取りながら
パッと大きな瞳を上げるリン。
「……知ってるのか?」
『ん?何を?』
キョトンとして首を傾げたその様子を見て、ラタルは思い違いを確信した。
全てを悟ったような菩薩のように穏やかな表情に、もしやと思っての事だった。
『なになに?何が?』
「間違った」
『えー、何それ!何でも知ってるって!言ってみてよー!』
「ふ。何でも?」
『なーんでも!!ラタルが大好きだから、何でも知ってるんだよ!』
「…へぇ、何でも?じゃあ俺の旅の連れが」
『うんうん!』
「クロロ・ルシルフルだったって事も?」
『うん!……………………………ん??』
素直な母さんの笑顔が、その瞬間消えた。
なるべく傷付けたりしないよう
真実を話そうと思った。
母さん、俺
彼がいたから、生きてこれた。
~続く~