朱い髪の小さな天使
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昔と少しも変わらない、家の匂い
部屋の景色
明るすぎない照明
テーブルに並ぶ、母さんの得意料理
家族や仲間の笑顔
笑い声
「おかえり、ラタル!待ってたよ!」
「よ、無事に帰って来れたみてーだな」
「おにーちゃん、ケーキ食べてー!」
『食べて食べて!』
誰も責めない
誰も咎めない
皆が俺の気持ちを汲んで、優先して
心配でも探さなかった
信じてくれていた
許してくれていた
ただ、待ってくれていた
「おかえり、ラタル」
「父さん……」
差し出されたグラスには、俺の好きなテキーラ
皆ご揃って、当たり前に乾杯が始まる
「よく戻ったな、ラタル」
「おかえりラタル!」
「マジで心配かけるぜホントに」
『お帰り、ラタル!』
「おかえり〜っお兄ちゃん!!」
零れ出す涙を、誰もからかったりはしない
肩を組まれ、頭を撫でられ
酒に煽られ
可愛いルビーのあどけない笑顔が、キラキラ輝いて
夢でも見ているような気分になった
俺が笑うと、一瞬だけ皆の声が途切れたりして
気遣って貰っているのがわかるのに、厭味もなくて
ただ、心地よかった
『ふふ、みんなよっぽど嬉しかったんだね』
それぞれが部屋に寝静まった、もう深夜。
片付けを一段落させたリンが、まだ一人テーブルについて飲んでいるラタルの向かいに座った。
皆、気を遣って敢えて二人きりにしてくれたのかも知れない。
『元気?ラタル』
「なんだ?それ(笑)あ、母さんも飲む?」
『飲む、ありがとう』
思えば二人で飲むのは初めて。
なんだか不思議な感じだ。
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