朱い髪の小さな天使
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ルビーを抱いて、家への坂道をもう一度ゆっくり上がっていくと
門の前にリンが立っていた。
風に吹かれ、昔より少し伸ばした髪が遠慮なく顔にかかって、邪魔そうなのに払う気配はない。
ただ無表情で、ラタルを穴が開く程見つめていた。
「……母さん?」
心配になって声を掛けてみると、一拍置いてから自分の頬を抓り始めた。
「何やってるんだ」
『……いひゃい(痛い)……』
「だろうな」
『夢じゃ……ないの?』
赤くなった頬を押さえ、涙ぐむリン。
予想通りだ。泣かないはずはない。
「ごめん……今までずっと心配かけて」
『ホントだよ~~~~~~~っっ……うう~~~~ラタルなのぉ?
ホントにホントにラタルなのぉ?』
「そうだよ。帰って来たんだ」
『ラタル……ラタル~~~~~~~!!』
感無量でしゃがみ込むリンに近付き、ラタルはそっと、その胸に抱き締めた。
「ただいま、母さん。愛してる」
『私の方が愛してる!!』
その台詞だけは涙にも負けずに断言した。
「ははっ、そうだよな。
それにしても帰って来る事を知ってたのか?
俺の誕生日にケーキって」
『ううん、毎年ラタルの誕生日にはケーキ作って屋根裏にお供えしてお祈りするという恒例の……』
「お、お供え?(汗)」
相変わらず変わった人だな……
人がまるで死んだみたいに!
『でもケーキはルビーが食べちゃったから、今からまた作るよ!!
もうすぐクラピカも帰ってくるし……あ、ゴンやキルアも呼ぼう!』
「い、いいよ!そんないきなり大勢……恥ずかしい!」
『いいじゃん!皆きっと喜ぶから!』
大はしゃぎで立ち上がり、皆に電話を掛けはじめるリン。
嬉しそうに笑いながら。
どんなに断ったって勝てるはずもなく、夕日に染まる花のようなその笑顔に癒されて
改めて
故郷に帰って来たのだと、心底感じた。
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