朱い髪の小さな天使
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ラタルは無意識に後を追っていた。
ずっと会いたかった妹。
この手で掴まえたくて。
追いかけながら、食い入るようにその後ろ姿を見つめていた。
身長、あまり高い方じゃないな
速い速い、あの足は絶対に母さん譲りだ
そしてあの
美しいまでに鮮やかな朱い髪
きっと父さんか母さんの一族の誰かから受け継いだんだな
もっと近くで見たい
顔が見たい!!
よーし……
ラタルはグッと足に力を込めると、そのまま思いきり地面を蹴った。
その激しい音に気を取られて振り向いたルビーは、あっという間に背後に迫られた事にギョッとして、並木の一本に飛び昇った。
「わ、凄いな!そんな事できるのか」
感心して拍手をすると、上でガタガタ震えているルビー。
木にしがみつき、下を見ないようにギュッと目を閉じている。
「どうした?怖いのか?」
「……間違えた……降りれない……」
「……ぷっ」
なんて可愛い
あんな凄い上り方をしておいて、降りれないって
堪らない!!(笑)
「なんで逃げてたんだ?」
「う……お母さんに怒られる……」
「何をしたんだ?」
「………………今日お兄ちゃんの誕生日なのに……ケーキ……全部食べちゃった……………」
「え?あっ」
そういえば今日は……3月28日か
俺の二十歳の誕生日
「お母さんがお兄ちゃんに作ったケーキだったのに……あたしが全部食べたから……」
えう、えう、と嗚咽を漏らし、泣きじゃくるルビー。
ラタルはそんなルビーを見上げて両手を広げた。
「泣かなくていい。こっちへおいで」
ハッとしたように目を開け、ルビーはラタルを見下ろす。
「……お兄ちゃん?」
「そうだよ、ルビー」
「か……帰って来たの?」
「ああ。だからおいで。俺が受け止めてあげるから」
「でも……ケーキない……」
「また作ってもらうから大丈夫」
「ホントに?」
「ああ」
みるみるうちに泣き虫が消え、向日葵のような元気な笑顔。
ああ……母さんによく似てる……
「ありがとう、お兄ちゃん!!おかえりなさい!」
木の枝から派手にジャンプし、ルビーはラタルの腕の中へと飛び込んだ。
「ただいま、ルビー!」
やっと会えたな
可愛い可愛い、俺の妹!
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