灰色の王女
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仕事の依頼をよこされたのはなんと昨日の事。
数日振りに仕事から帰って来た父さんがげっそりしながら俺の部屋のドアを叩いた。
「会長からの……依頼というよりは命令だ」
なにやら酷く疲れた様子で説明された仕事内容はこうだ。
" 昨年、新しく独立した王国の王女殿下を、養女に出る姉妹国に送り届ける際の護衛 "
――――と。
「そんな大役を何故俺に?」
「条件があってな。
王女殿下は歳の近い者がいいと言っているらしい」
もちろん若干腑に落ちない気持ちではあったが、とりあえず期間限定の仕事は好都合ではあるし、父さんの青白い顔を見たらとても断る気にはならなかった。
「すまない、ラタル……本当にすまない」
俺が請けると返事をした時にやたらと父さんが謝った理由が今ならわかる。
「さ、行くわよ」
「はぁ………」
メンチに半ば引きずられるようにして家来の人共々、謁見の間に向かう。
南国の割りと小さな島。
新国王は戦争もせずにこの国を独立させたらしい。
できたばかりの小さな城の中を物珍しげに見渡しながら歩いていると、家来の者や女中たちがやたら凝視してくるので恥ずかしい。
「や、やはりバレているのではないか!?」
「違うわよ。あんたみたいな綺麗なのが珍しいんでしょ。
それに私が仕立てたのよ?バレるわけないじゃない!」
「しかし、多分王女には通用しないのでは……」
「まだ言ってんの!?
いい加減覚悟決めなさいよね!」
「はぁ………」
「溜め息つくな!!」
「溜め息も出るだろ!!憂鬱すぎる!!」
家来の者達に聞こえないようボソボソやりあっているうちに謁見の間に辿り着いた。
扉が開かれ、少し進んだ場所でひざまずいた状態で王女の登場を待つ。
奥の高みには空の玉座が見える。
初仕事云々以前に、一国の王女なんかと対面しなきゃならない事にだいぶ緊張する。
普段の俺なら絶対に粗相などしない自信はあるのに……
今は……
「ルル王女にございます」
緊張がMAXを迎える。
ついに玉座の左手から王女殿下が現れた。
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