緋色の空
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クロロが死んだ。
自ら望み、帰ってこない事を選んだ。
あんなにしつこい程「帰ってこい」と繰り返した彼自身が……
「ラタル……大丈夫か………?」
森の入口で崩れ落ちたまま動かないラタルに、シークが遠慮がちな声で尋ねた。
ナーリンは数歩下がった所で、ただ無口に見守る事しかできずにいる。
案内人の男も、急かす事なく待ってくれていた。
「おい、ラタル……」
「……っく……」
「ラタル……」
時折漏れる嗚咽の声。
遂にはシークの呼びかけまで、尻窄みに途絶えた。
……立ち上がる気力すら持てない
俺は何回こんな思いをすればいいのだろう
ダリアも、ルルも……クロロまで
大切な人を何度も何度も失って
……そうだ
クロロもとっくに大切だった
大切
だったのに………
「こんなのは無しだ……こんなのは、無しだろうっ……!」
叫んだ声が空にまでこだまして、自分の耳に痛く痛く響いた。
昔、クロロは人間の眼を金に替える為だけにクルタ族を襲い、滅亡させた
たった独り生き残った父さんは、彼らを捕らえる為ハンターになり
母さんや皆と出会って
俺が生まれた
そうだ
クロロがクルタ族を襲わなければ、今の俺は存在し得なかった
そんな未来にも、父さんと母さんにはそれぞれの幸せがあったのかも知れない
それでも二人は世界中にたった一人しかいないお互いに出会えた事に感謝してる
俺を愛してくれている
俺が今いるこの場所は
クロロが作り上げた運命の延長線上――――
クロロに導かれ
クロロに救われ
クロロに生かされてきたのだ
――それは必然の出会い――
「面白かったよな……楽しかった……」
クロロは?楽しかった?
いつか直接聞ける日が来るのなら
それまで生きていこう
……生きていくよ
クロロ……
もう会えなくなってしまった大切な人達の想いまで
全部胸に連れながら……
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