ユメ、マボロシ
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その扉の向こうは、溢れんばかりの光に満ちた世界。
まるで羽でも生えたように体が軽い。
眩しい眩しい光の中に、自分の体が溶けていくのがわかった。
―――行こう!クロロ!
愛しい声と共に、全てが消えてゆく。
……優しい優しい、幻だった―――
罪の限りを尽くしてきた自分が、こんな幸せな終わりでいいのか
赦されるのか
でも、もう憎しみの声は聞こえない。
頬を伝う一筋の涙。
それがこの身体が生きていると感じた最期の感覚だった。
人生で1番幸せな気持ちだ
なんて贅沢な最期だろう
ラタル、すまない
お前に帰ってこいと散々言っておいて、俺の方がこの有様だ
だが、お前は帰っただろう
お前には未来がある
待つ者がいる
5年間の旅、楽しかった
もう少し続けてもよかったな
ラタル
生きろ
リン
会えてよかった
お前に会えて、本当によかった
ずっと幸せに――――
「クロロ!クロロ!!」
案内人が、クロロは帰って来ない事を告げた。
もう一度森に入ろうとしたラタルは、シークとナーリンの必死の制止によって止められた。
「何故だ!俺に帰って来いと……お前が言ったんだぞ!何故……っ!!」
叫び、涙を流すラタル。
"……ちゃんと帰ってくるんだぞ、ラタル"
"置き去りにしてきた大切な家族の事を考えろ"
"お前を必要としている人間が、お前をずっと待っているんだ"
"俺もそうだ。お前のお陰で……ありがとう……"
「俺はまだっ……ありがとうも伝えていないのに……っ」
ポタ、ポタ、と
崩れ落ちたラタルの拳の上に、涙が落ちる。
史上最悪の盗賊団
そのリーダー
ラタルに見せた素顔は、温かく、優しい心を持っていた。
"ありがとう……"
5年間、共に歩んで来た二人の旅は
こうして静かに、ピリオドを迎えた――――
~続く~