ユメ、マボロシ
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その瞬間、嵐のような激しい風に見舞われた。
濃い霧を更に凝縮させたように視界は一瞬だけ真っ白になり、その後、フッと電気が消えたように真っ暗になった。
"森から出る時はひとつの一本道を選び、絶対に振り返ってはいけない。
もし振り返ってしまったら、二度と森から出られずに幻に憑り殺されてしまう――――――"
何の償いにもならない事はわかっていた。
ただ、漠然とこうするべきだと思った。
振り返ったら数多の声の主達が取り囲んでくるのだろうか、などと考えていたが、視界には何もない。
星のない宇宙の中にポツンと独りきり、取り残された。
「……これが幻か?」
これはこれで、確かに辛いものではある。
だが呆気なさもあり、クロロは辺りを見回しながら呟いた。
すると、どこからかまた声が聞こえた。
今度は一人。
聞き覚えのある声。
クロロはハッとした。
真っ暗な中に、小さく光が射し
だんだんと大きく広がっていくその中に、懐かしい景色が見えた。
それは、もうずっと昔の事になってしまった遠い日、住んでいた廃ビルの地下の部屋
ほんの短い間、リンと二人きりで過ごした部屋だった。
こだわりある内装に合わせて取り寄せたアンティークのテーブルの上に、たくさんの料理が並べられている。
これは記憶?それとも……
ああ、向かいの席に誰かが座った。
テーブルの上の料理から視線を上げると
そこにいたのは
大好きな、リンだった。
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