森の中で
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
"男は嫌いか?"
そう尋ねたラタルの顔は、困ったような切ないような……
何故かとても暗かった。
「なぜ今、そんな事を聞くの?」
ルルの疑問は至極当然だった。
ラタルが今、このタイミングで聞いたのには訳があった。
――――まずい………
まずいな………
下着が………
ブラが外れてる!!!
中からパットが漏れて腹に回って大変な事に……!!
これはルルが少し気を他に向けても水の中ですぐに直せるものじゃない!
どうする?
この状態で上がったら絶対まずい!!
いっそブラもパットも取り払って胸のない体で堂々と上がってみるか?
いや、おかしいだろう!
最初に俺を仕立てたメンチの趣味でかなり胸が目立つ大きさだったはず……(どれだけ俺を窮地に追い込むんだ、あいつは)
「ねぇ、ラタル?どうしたの?」
男嫌い……克服しているはずがない……
けど……
「もし私が男だったら、ルルはどうする?友達……やめるか……?」
あまりに脈絡のない、唐突な質問。
こんなもの、ただの惰性だ
聞くだけ無駄なのはわかってる
ラタルの質問に、ルルは眉を寄せて黙った。
ラタルと交わったままの視線。
繋がったままの手。
水に揺られ、真剣に考えて悩んでいる。
そして暫くの後、小さい声で答えを出した。
「……私は……ラタルがラタルだから好きよ。
男だったら……なんて、想像もできない……」
曖昧で、でも痛い程に苦悩が伝わって来た。
「想像してみるんだ。私が男なら、ルルは私を嫌いになるか?」
「なんで……なぜそんな事を聞くの?」
「もし私が男でも、ルルに辛い思いをさせた連中とは違う。男でも、そんな奴ばかりではない。私の知る人達はみな、素晴らしい男ばかりだ」
「…!!姉様たちに聞いたの…?
だとしても…私にはわからないわ」
「私が男なら?」
「わからないったら!」
「考えてくれ!」
張り上げた声とは裏腹に、ルルが見上げたラタルの表情は少しも恐くなかった。
不安げに唇を噛みしめている。
「ラタルは……私に男性を好きになれと言うの?」
「男性嫌いが克服できたら、もう少し長く一緒にいられる。家族とも離れずに済むんだぞ」
「長く……ラタルと?」
思いもよらない言葉だった。
まさかそんな風に思ってくれているなんて。
.