ユメ、マボロシ
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男はクロロの様子を窺うように暫く黙った後、ガリガリと頭を掻いて大きな溜め息を吐いた。
「……自分が負けた話なんてしたくねぇけどよ。
俺を殺したのは、鎖遣い……クラピカだと思ってる」
「……どういう意味だ?」
曖昧な答えに、クロロは眉を寄せた。
「やられっぱなしが気に喰わなかった俺はあの日、自分から鎖野郎と闘いに行った。
そして望み通りにタイマン張って、最後は俺の油断で捉えられた。
念の鎖を心臓に刺されて……最後の質問は何だっけ?仲間はどこにいるかだっけか?」
緋色の双眼の鮮やかさ以外、もう細かく覚えていない
悔しさも、こちらの世界に来て暫く過ごすうちに浄化されてしまった
そんな悟ったような男の表情を見ながら、黙って話を聞いているクロロ。
「そんで質問に答えなかった俺の心臓はその鎖で潰されるって寸法だったんだろうな。
だが、肝心なとこで横槍が入った」
風かと思ったら、れっきとした人間で
血に染まった初めて見る少女
それが最期に見た光景
「すげぇ速さで目の前に現れてよ。
鎖が心臓潰す前に、そいつに胸を貫かれた」
「それがリン……か」
なんの為に?
クロロは少しだけ考えた。
こんな自分には理解し難い事だが、恐らくは
「……あいつに人を殺させない為か」
そうだ
そういう奴だ
あいつならきっとそうしただろう
クラピカを守る為に
"だから仲間は私が殺したって言ってんのっ!!"
ここぞとばかりに言い張ったのは
その時の為に、ちゃんとその手でウボーを殺していたから―――
「てな訳だがよ、俺はあんな小娘に殺されたとは思っちゃいねぇよ。
俺を見事捉え、殺ったのは鎖野郎だ。他の誰でもねぇ」
男は腰に手を宛て、威張った様子でそう言った。
「そうか。よくわかった」
「ホントにわかったのか!?俺は断じてあんな小娘に殺られた訳じゃ」
「わかってるさ」
わかってる、と
念を押して二度返した。
口許に笑みを浮かべて。
男は、自分が生きていた当時には見た事もなかったクロロの表情に、暫く無口に見入っていた。
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