鼓動
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キッと強い眼差しでラタルを見つめた後、ルルはまたいつものように笑った。
そしてラタルの肩を押し、背中を向かせた。
「ル」
「振り返っちゃダメ!」
強く張り上げられた、制しの声。
固まるラタルを確認すると、そっ……と広い背中に頭を預けた。
「……あったかい……ラタルの命の温もりね」
「……離れたく……ないっ……ルル……ルルっ……」
背中にじんわりと涙が染みてゆくのを感じる。
自分の瞳にも同じように溢れくる。
愛してる
大好き
貴方に会う為だけに私は生まれた
幸せだった
奇跡を貰った
貴方の存在する世界は、もうそれだけで泣きたくなるほど愛しいの
「いつも笑っていますように……いつまでも幸せでありますように……」
背中にそっと祈る。
愛してる
愛してる
愛してる
……永遠に、愛してるからね……
「さようなら―――ラタル……」
トンッ
優しく背中を押され
一歩
否応なく歩み出した。
「……ルル……?」
振り返る事ができず、背中越しに呼ぶ。
返事は……ない。
「ルル………っ……ルル………!」
もう、いないのだろうか?
決して振り返れない
だが、今振り返ったとしたら?
まだいるんじゃないのか?
なぁルル
お前のお陰で
お前がくれた言葉で、俺はこの先何があってもきっと生きていける
お前を誇りに思い、同時に自分も誇りながら歩いていける
……だけど
本当にそれでいいのか?
本当に振り返ってはいけないのか?
今ここで振り返り、死ぬ事になっても
俺は後悔しない自信がある
なぁルル
振り返らない事が正しいのか?
もし一般論において正しいのだとしても
例えば神が定めた善悪において正解なのだとしても
自分の中で違うなら、その正義に従ってはいけないのか?
「ルル……」
涙が止まらない。
前が見えない。
狭い一本道を踏み外しそうになる。
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