鼓動
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どこへ行こうと
例え、同じ時を生きられなくとも
万物はひとつであり、全ては繋がっている
その言葉は、がんじがらめの枷で己に縛りつけられていたラタルの心を
静かに、そして確かに
遥か大空へと、羽を散らしながら解き放ってくれた―――――
「楽になって、ラタル……もう苦しまないで。
私がいつだって望む事は、ラタルの幸せ、ただそれだけなのだから」
凜と誇り高いルルの微笑は、威風堂々と美しい。
強気に振る舞える本当の強さを持った
誰より脆くて儚いくせに、芯の折れない、手の焼ける王女様。
高貴な魂を持った
誰よりも優しい女の子。
可愛くて、愛しくて
大切で大好きな
かけがえのない、俺の宝………
「ダリアにも、いつか会いに行ってあげて。ずっと貴方を心配してるわ」
「ああ…そうだな…でも…」
ダリアと最初から別れたりしていなければ
君を失う事もなかったのに、今更―――
「余計な事は考えない!
……私はね、ラタル。どんな過酷な出来事でも無駄だったなんて思わない。
例えばこれからいつか、ラタルとダリアが結ばれる日が来たとしても、私との日々が無駄だったとか、私がこんな風になってしまった事を嘆いたりしないで欲しいの。
ダリアじゃなくても、他に誰か好きな人ができたとしても、私に悪いなんて思わなくていいのよ。
私はね……貴方の人生にほんの少しの役割でも貰えたのなら、それで満足なの。
貴方の役に立てたら、それで充分。それが1番嬉しいの!」
何を望んでも、もう何も叶わないであろう彼女が
そう言って本当に満足そうに笑うのだ。
「……さぁ、もう時間……」
「ルル……!」
霧が急に濃くなってきた、と思えば、目の前にいきなり現れた長い一本道。
前へ進む為だけの
決して振り返ってはならない、最後の道………
「今度はちゃんと、さよならを言えるわね。
……ありがとう、ラタル」
「あ……っ……ルル、待ってくれ!俺はまだ……」
「行って!もう行って……絶対、振り返ってはダメよ」
霧によって薄らいでゆくルルに、咄嗟に伸ばしかけた手が
その声によって遮られた。
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