鼓動
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頬に添えられた手を、堪らず強く握った。
悲しいほどに温かい。
温かくて、悲しくなる。
「……ルル……」
「ラタル……」
「ルル……ルル!ルル……!!」
ラタルはもう一度ルルの体を夢中で抱き寄せた。
時よ止まれと、こんなに強く願った事はなかった。
灰色の髪は別れの日からまるで何事もなく伸びてきたように長く清廉で
繊細で、温かくて、世界中のどんな楽園よりも優しかった。
「……ねぇラタル?ひとつ、いい?」
ラタルの腕の中、そう尋ねたルルは話す前からクスッと一人笑った。
「なんだ?」
「あの時、リンのお腹の中にいた赤ちゃん、まだ男の子か女の子かも知らないでしょ?」
「え……っ」
何かを思いだしているのかクスクスと可笑しそうにルルは笑う。
「お前、知っているのか?」
「知りたい?ふふ、知りたくなくても私言いたいのよね」
「知りたい!教えてくれ!」
あれからクロロはどんな方法を使ったのか、ヒソカの追跡から逃れて縁を絶っていた。
ラタルもこの5年間、両親どころかキルアやゴンとすら連絡は取っておらず、実家のその後は心底気になるところではあったが、知るすべもなかった。
「ふふふ~、実はね……女の子だったのよ!
名前はルビーちゃん!5歳になった今、とっても元気でやんちゃに育ってるわ!」
「本当か!女!?どんな顔だ?俺に似てるか?髪の色は?」
「やだぁ、それは見てのお楽しみでしょ?言いたい気もするけどね!」
まるで自分の事のように嬉しそうに話すルル。
頬を染め、笑う顔がまた懐かしくて胸を締め付けた。
「……何でも知ってるんだな。見てたのか?」
俺の事も、ずっと……?
「見てた……とは言わないかしらね。"わかる"の。
死して体は滅びても魂は自然に溶け込み、万物とひとつになって全てと繋がり、感じているのよ」
「万物……全てと……」
「そう。海であり、風であり、空気であり、空であり……
ラタルが私を感じる場所に、私は必ず在るのよ。
どこへ行っても繋がってる。この星はひとつ、世界はひとつ。
人もまた、ひとつなの」
だから歎かないで
恐れないで
淋しいと思う事も、孤独だと悲しむ必要もない
私たちは、ひとつなの
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