鼓動
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互いに同じように、ふやけるくらい涙で濡れた頬。
違うのはただひとつ、ルルが微笑んでいた事。
「ルル……何故だ?生きていたくないのに……お前がいないなら、もう……」
「嘘は嫌い」
情けないと自覚しながら、ルルにだけはそんな想いを自重する必要がなかった。
ルルは愛してくれる。
どんな自分でも、絶対に嫌わずに想ってくれる。
ラタルはとめどなく溢れる涙を拭う事すら忘れた。
ルルの辛辣な一蹴すら、絶対に己を傷付けるものではないと知っているからこそ
ラタルは尚も求め続けた。
「嘘ではない!お前の傍に行けるのだとわかっていてこんな……誰もが俺の立場なら、そうする!」
「でも貴方は他の誰とも違う。貴方には待っていてくれる人達がいるじゃない。
ずっと昔から、大切に想いあっている家族が…仲間がたくさん!」
「…………っ」
ラタルの人生を有りのままをなぞるように、ルルはそう言った。
「……言うな……俺が、今お前を選ぶんだ。それでいいだろう!後悔などない!」
振り切るように必死にラタルは首を振る。
頭の中から打ち消そうと努めていた大切な人達が、堰を切ったように一気に胸に押し寄せる。
「ラタル」
『ラタルーっ!』
「行こうぜ、ラタル」
「ラタルは凄いよ!」
『ラタル、大好き!だーい好きだもん!』
大好き
大好き
「ラタルくん、大好き」
頭に浮かぶ人達は皆、ひとり残らず大切な人で
誰の為にも命を懸けられる、それほど深く大切で
もう会う事もない、愛していた人にすら
置いてきた約束がある
" 俺は生きていく "ーーーーー
ルルはラタルの頬を両手で包み、細く白い指で涙を拭った。
「…わかる?ラタル…貴方は宝物なのよ。
ずっとずっと、みんながラタルを待ってる」
「……あ……っ」
拭う指が意味を成さないくらい、ラタルの瞳からは次から次へと飽きる事なく涙が零れた。
目の前のルルが、今どんな想いでその言葉を言っているのだろう
どこへ行こうと、何をしようと
自分はもう絶対に現世には戻れない
この刹那の逢瀬を終えたなら、一体どこへ帰るというのか
それなのに、迷わず俺の背中を押す
どこまでも汚れなき魂が、奇跡のように輝いて
「大切な人達を、生きて幸せにしてあげて。そして誰より貴方が幸せであるように」
導く。
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